夫の女性遊び、浮気疑惑、本気の不倫とパターンはいろいろながら、道ならぬ行いをするドキドキはドラマには不可欠な要素のひとつでもある。
どうなるの〜?と続きが気になるので、エピソードとして取り入れたい作り手の気持ちはわかる。浮気疑惑は手軽な取り入れやすい刺激物である。
夫に別の女性の影を感じて主人公が気を揉むエピソードは、前述の「エール」や「花子とアン」のみならず「ごちそうさん」(2013年度後期)や「あさが来た」(2015年度後期)にもあった。
再放送中の「あぐり」(1997年度前期)もあぐり(田中美里)の夫エイスケ(野村萬斎)は妻以外の女性と遊んでいる常識にとらわれない人物として描かれていた。
現在、BS 12 で再放送中の「ふたりっこ」(1996年度後期)は応用形で、主人公の父(段田安則)が歌手オーロラ輝子(河合美智子)の押しかけ付き人になって家を出ていったことで家族関係にわだかまりを作る。
このように枚挙に暇がない中で、夫の浮気を視聴意欲のフックにしつつ、現代的なリアルな問題として着目したのが、平成最初の朝ドラ「青春家族」(1989年度前期)。
母(いしだあゆみ)と娘(清水美砂)のダブル主人公で、母のほうは夫(橋爪功)の単身赴任と浮気に直面する。
彼女自身も年下の社員と微妙な関係に…という夜のドラマ(たとえば他局の金曜夜10時)のような気配がたちこめ、時代の変わり目に朝ドラにも変革をというような意識を感じる作品だった。
「おちょやん」が、しばらく控えめにしていた問題にあえて踏み込んで描いたことにも時代の変わり目を感じなくもない。
それでもやっぱり千代と一平が別れてしまうのは悲しかった。千代のリカバリーに期待する。
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