視聴者の胸に深く刻まれるドラマ主題歌!今クールも“計算尽くされた”名曲ぞろい

2021/05/15 19:00 配信

ドラマ 音楽 コラム

5月7日に解禁された米津玄師 最新アーティストビジュアル撮影=奥山由之

出演者やストーリーはもちろん、主題歌も話題となっている2021年4月スタートのドラマたち。初回放送まで主題歌の詳細が明かされないものや、ドラマだからこそ実現したコラボレーションなど、趣向を凝らした楽曲で視聴者を楽しませてくれている。なかでも注目を集めている主題歌をピックアップし、起用の傾向や劇中での使われ方を通して、ドラマと主題歌の関係性を考察する。

楽曲は初回オンエアで初解禁といった手法も話題に

ドラマ主題歌といえば、ドラマがスタートする前にアーティストや曲名、予告編で楽曲の一部を流すなど、事前に告知することで視聴者の期待値を高めるのが一般的だった。それが今回、その手法を覆したのが「着飾る恋には理由があって」(毎週火曜夜10:00、TBS系)と「リコカツ」(毎週金曜夜10:00、TBS系)だ。
着飾る恋には理由があって」で主題歌を担当しているのは、星野源。着飾ることで自分の居場所を得ていた主人公の真柴くるみ(川口春奈)が、ミニマリストの料理人・藤野駿(横浜流星)をはじめとする面々と一つ屋根の下に暮らしながら、恋をしたり、友情を深める中で、着飾ることをやめて自分らしく生きる姿を描くラブストーリー。
このテーマを受け、星野が「恋愛というものに正面から向き合いたかった」と書き下ろしたのが「不思議」(配信中)だ。星野が主題歌を担当することは発表されていたものの、楽曲のみならず、タイトルさえ初回放送時まで一切明かされなかった。

一方、主題歌が米津玄師「Pale Blue」(6月16日[水]リリース)であることは告知されていたものの、楽曲は初回放送時に初出しするという手法が取られたのが「リコカツ」。米津がテレビドラマ主題歌を手掛けるのは「アンナチュラル」(2018年TBS系)での「Lemon」、「ノーサイド・ゲーム」(2019年TBS系)の「馬と鹿」、「MIU404」(2020年TBS系)の「感電」以来4作目となるが、ラブストーリードラマへの書き下ろしは今回が初。北川景子演じる主人公の水口咲と永山瑛太扮(ふん)する緒原紘一が運命的な出会いを果たし、交際0日で結婚したものの、正反対の性格ゆえにけんかが絶えず、新婚早々離婚を決意するという“離婚から始まるラブストーリー”がコンセプトの本ドラマ。米津自身も「久しぶりにラブソングを作った」とコメントし、注目を集めていた。

ベールに包まれたまま初回放送を迎えたこれらの楽曲は、ドラマの中で流れるやいなやたちまち話題に。「着飾る恋には理由があって」では、くるみが涙するシーン(第1話)や、くるみと駿のキスシーン(第2話)など、場面場面で登場人物たちの心情を代弁するかのごとく流れていたのが印象的。「リコカツ」では毎話クライマックスを迎えるシーンで流れるが、“恋に落ちた瞬間”を描く「Pale Blue」が流れることで、離婚を決意した咲と紘一の気持ちが次週以降どう動いていくのかを期待させる役割を果たしている。

視聴者に絶大なインパクトを与えた2つの主題歌。その理由は、それぞれの楽曲がハイクオリティであることは言うまでもなく、さらに初回放送に初出しすることによって、どんな楽曲か知りたい!という視聴者の“耳”をひき付けたことも大きな要因と言えそうだ。