明石家さんま、“声優”大竹しのぶに全幅の信頼「『心配なの…』っていう時はできる時なんです」

2021/06/10 12:01 配信

映画 アニメ インタビュー

取材に応じた明石家さんま、大竹しのぶ、渡辺歩監督(写真右から) ※提供写真

――いよいよ公開ですね。

明石家さんま:こういう製作はキリがないんですよね。どれだけやっても悔いがあると言うか、「ここはこうしたかった」とか「あそこはこうすればよかった」とか、そんな気持ちが溢れてくるんです。でも、自分が思っていた以上の仕上がりになっているので、プロデューサーとしては満足してます。

大竹しのぶ:新型コロナの影響とか緊急事態宣言とか、公開される時の映画館の状況がどうなるのかな?って心配はありますけど、監督を中心に、たくさんの方と一緒に作った映画なので、たくさんの方に見てもらいたいです。

渡辺歩:僕は、夢のような方々と一緒に作れたので「終わってしまうのか…」という気持ちもあります。

さんま:監督は世代的にど真ん中やったらしくて(笑)。

渡辺:そうなんです。自分が(片岡)鶴太郎さんか奥田瑛二さんになったような気持ちで、興奮を禁じ得ない感じです。

さんま:男女7人(「男女7人夏物語」)なんて、若い子らは誰も知らんって言うてんのに(笑)。

渡辺:いやいや(笑)。でも、本当にうれしかったです。さんまさんがこの作品をアニメにすると決められたことで、アニメーションにチャンスを頂けたと思いました。ですから、僕としては、その期待に応えたいという気持ちでしたね。完成したからには、たくさんの方に見てもらって、いろんなことを感じ取っていただきたいです。

――さんまさんは企画・プロデュースは初めてということになりますが、当初思い描いていたことと違っていたり、苦労されたこともいろいろあったかと。

さんま:ホントにアニメって大変!構想から5年、2年前にアニメにすることを決めたんですけど、もう2度とやりたくないって思うぐらい時間がかかるもんなんですね。アニメって、半年ぐらいで出来上がるんかなって思ってたんですけど、半年たった時に監督の説明を聞いたら、「まだ10分ぐらい」って言われて、「えぇ!」って驚きました(笑)。結局、2年掛かりました。大変やで。アニメ、手ぇ出すなよ(笑)。

――プロデューサーとしてのさんまさんはどうでしたか?

大竹:監督とどうやって話し合って作っていったのか、詳しい話を聞いたわけではないんですけど、あの話、面白かったよね。5分のシーンについて1時間ぐらいずっと。

さんま:あぁ、あれな!あれは同席していたスタッフ一同、どうリアクションしていいのか分からなくて苦しかったです(笑)。監督が「そこでトカゲがシュシュシュっと現れて、(焼き肉店の店主の)サッサンがオートバイでブーンブーンとやってきて、『おい、きくりん(キクコ)! 何してんねん』って声を掛け、そこにネコが現れて」っていうのを延々1時間ぐらいかけて活弁士のようにしゃべんのよ。

「監督、あとどれぐらいかかります?」って聞いたら、「シーンで言うと、これは5分ぐらい」って言われて、「えぇ!あと何十倍も聞かんならんのや…」って、そういう繰り返しで今日まで来ました(笑)。

大竹:そういう話を聞くと、深く深く関わって2年かけて作ってきた映画で、ところどころに小さなユーモアがちりばめられていて、それはやっぱりすごいことだなって思いました。さんまさんならではの考えとかアイデアとか、何かがあって、監督がそれを画にしてくれたんですね。

さんま:ホンマ、そう。説明は長かったけど(笑)、監督がおらんかったらここまでの作品になってなかったと思う。僕がちょろっと伝えたことを監督が理解してくれて、これは監督の才能やと思うんですけど、自分が思う以上のものに仕上げてくれるんです。

宮迫(博之)がセミの声をやってるんですけど、きくりんが海岸でポツンとした感じで終わる場面があって、そこは宮迫のミーンミーンって鳴き声で終わってたんです。でも、本物のセミの声をそれにかぶせたいと思って、マネジャーを通じて監督にお願いしたんです。そうしたら、マネジャーが「すみません。監督に伝わらなくて、宮迫さんの声だけになってしまいました」って。「あぁ、そうか」と思って0号を見たら「俺の言うた通りになってるやん!」って笑ってしまいました。

大竹:監督は分かってたってこと?

さんま:そうそう!マネジャーはうまく伝えられなかったと思ってたけど、監督はちゃんと分かってくれてて、そのようにしてくれてたんです。