柴咲コウ主演の大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK総合ほか)。3月12日放送では、松平元康(のちの徳川家康、阿部サダヲ)が今川家から独立したことを受けて、今川の手中にある元康の妻・瀬名(菜々緒)が窮地に。旧友である瀬名を救うため、次郎法師(柴咲)は命乞いに行くのだが、必死の嘆願もむなしく、ついに瀬名に処刑の時が迫る。そこへ、笠を目深にかぶった男が馬に乗って現れる。
実はこの男の正体は元康の部下・石川数正で、3月19日(日)放送では、その目的が明かされる。数正といえば、元康を今川の人質時代から右腕として支えた重要人物。後に、突如として出奔して、豊臣秀吉の家臣に加わったことでも知られている。
数正を演じるのは中村織央(なかむら・おずの)。大河ドラマは初出演だが、同じ森下佳子脚本の連続テレビ小説「ごちそうさん」(2013年~2014年、NHK総合ほか)にも出演するなど、注目の俳優だ。そんな中村にインタビューを敢行して、数正役への思いや撮影の舞台裏を語ってもらった。
――大河ドラマは今回が初めての出演とのことですが、現場に入ってのご感想はいかがですか?
興奮しっぱなしですね(笑)。一人では着ることができないような衣装を着て、はかま姿で脇差を差すと、本当に背筋が伸びます。「これを当時の人たちはずっとやっていたのか…」とも思いますし、「自分も日本人なんだな、侍の血が流れているんだな」という実感もありました。衣装を着ただけで、体の内側から沸き立つものがあります。
――ご自身の着物姿を見た感想はいかがですか?
…どうなんでしょう(笑)。まだ、あまり映像を見ていないのもあって、自分では何とも言えないですね。でも、当時の普段着ですから、かっこよくなっていないといけないなと思います。
――出演が決まった時の感想はいかがでしたか?
「ついに、出られるのか」というのが、一番大きかったですね。周りからは、身長も含めて「あまり、時代劇向きじゃないよね」と言われてきたんです(笑)。でも、時代劇と戦時中の話は、僕の中でずっとやりたかったことなので、お話をいただいたときは、ものすごくうれしかったです。
――はじめ、役については、どのような説明を受けましたか?
数正は、元康の側近ではありますが、徳川四天王ではないんです。それはつまり、元康が本当に個人的に好いていた、元康にとって常に横にいてほしかった人…というふうに教えていただいて、僕自身もその後、数正について調べてみました。
――調べた中で印象に残っていることはありますか?
図書館に行って本を読んだくらいではありますが、数正についての記述は、家康を裏切って豊臣に行く前後や、晩年のエピソードばかりで、僕が演じる若い頃のことはあまり描かれていないんです。
それに、書く人によって歴史の見方は違うので、出奔についても捉え方が違うんです。「家康のことが好きだから、豊臣側から徳川を守ろうとした」と書く人もいれば、「たまりにたまった思いがあった」という人もいるので、これは一から作っていくしかないなという気はしています。台本を読んで、現場に入って衣装を着て、その場その場で作っていかないと…正解がないからこその難しさを感じています。
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