――第11回以降、数正と元康・瀬名夫婦は、しばらく登場がありません。再登場の頃には数正はどんな役回りになっているのでしょうか。
まだ先ですが、元康がさまざまな要因から“ぶれる”時期が来るんです。でも、それを数正たち家臣がしっかり支えるという描写が増えます。これまでは護衛役が多かったのですが、「殿、今しっかりしないと!」と諭すような場面も出てきます。
――出奔の予兆は、まだありませんか?
まだありませんが、そろそろ出てくるのかなと頃合いをうかがっています。個人的には、元康が松平を名乗っているときは純粋に松平家を好きでいいと思うのですが、それが徳川になった時にどうなるのかなと思っていて…。
史実だと、瀬名(築山殿)は家康の命令で命を落とします。僕の想像ですが、ここまでの描き方を見ると、瀬名の死が数正の出奔の遠因になる…ということもありえると思っているんです。第11回でもそうですが、数正は瀬名と一緒にいることが多いですし、そうして守ろうとしてきた人がいなくなったときに、数正の心の中でどれだけ大きな動きがあるか。まだ本を読んでいないので分かりませんが、これは相当なものだと思うんです。
――撮影現場で驚いたことはありますか?
セットですね。スタジオの中に城があって、川も流れているんです。砂利が敷いてあって木があって…まさに、その時代を作り上げているという感じですね。そこに侍の格好をしていられるというのは感激しました。
所作や礼儀作法も難しくて、元康の刀をあずかるシーンでは、元康が話している間、ずっと立膝をついて刀を両の手の平に乗せているんです。その何分かで腕がパンパンになって…。実際には話がいつ終わるか分からないわけですから、それでもただじっと待つというのがすごいですよね。
他にも、何かない限りは動いてはいけない、目上の人と話しているときに目を見てはいけないとか、多くの決まりごとがあるのですが、それを守って形ができてくると、本当にかっこいいんです。かっこいいからこそ苦労する、苦労するからこそかっこいい、ということを痛感しました。
――最後に、今後数正として演じてみたいシーンはありますか?
たくさんありますが、今後の松平家、徳川家が、どのように話に関わってくるか次第ですからね。…一つ挙げるなら、本格的な戦のシーンをやってみたいです。甲冑(かっちゅう)を着て、殺陣も含めて。数正もずっと刀を差していますが、まだ一回も抜いてないんです。これを抜くシーンがあったらなと思います。
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