髙嶋政宏、グルメの原点は「富士そば」のコロッケうどん 「なんてウマいんだろう!」と感動した思い出の一杯<3週連続インタビュー:第1回>

2021/08/20 16:00 配信

芸能一般 インタビュー

「ELEZO」を選んだ理由は「素晴らしい哲学」に感激したから


ELEZOの料理には「舞台や映画に通じるものを感じる」と髙嶋 撮影=山田大輔

髙嶋が「ELEZO」と出会ったのは、一流のシェフが作る究極の一皿を、ドキュメンタリー&ドラマ仕立てで紹介する番組「パレ・ド・Z~おいしさの未来~」(BSフジ)。フードミュージアムのチーフキュレーター・三石寛太を演じる髙嶋は、今後取り上げる予定の店として訪れたのが始まりだ(※「ELEZO」の放送は2020年3月)。料理に感動した髙嶋は、その勢いも手伝って、「ELEZO」が拠点とする北海道・十勝へ訪れる。

「『ELEZO』の代表である佐々木章太さんが、料理人なのに、技術とか味付けより前に、人格形成に力を入れてたんです。弟子にもめちゃくちゃ厳しい。僕が行ったのは真冬だったのですが、『ELEZO』の皆さんだけではなく、漁業協同組合など地元の方々が歓迎してくれて、バーベキューをしてくださった。当然飲み過ぎてベロベロになったんですが、翌日の早朝から、二日酔いで鹿狩りに同行するという洗礼を受けまして(笑)。そこからの付き合いになりますね」

「佐々木さんの話を聞いていると、学ぶべきことが多い」と髙嶋。佐々木の人柄と、その“哲学”に心酔してしまったのだという。

「料理人は、“厨房という狭い空間だけにとらわれていちゃいけない”とか“広くいろんなことをやっていかなきゃいけない”とか、哲学が素晴らしくて、やられちゃいましたね。ここの料理を食べると、『そうか、それぞれが100点を持ち寄るからこそ、ここまでたどり着けるんだ』と。舞台とか映画に通じるものも感じて、すごく好きなんです」

1皿目:蝦夷鹿のブーダンノワール

蝦夷鹿の温製ブーダンノワール 撮影=山田大輔

ブーダンノワールはフランス伝統のシャルキュトリー(食肉加工品全般の総称)の一つとして知られ、多くは豚の血と肉を使った腸詰の一種だが、「ELEZO」では蝦夷鹿で味わう。「うちでは蝦夷鹿の狩猟から調理まですべてやっていますが、最初に得られる食材が血です。血の一滴から骨の髄まで全部使い切ることを一番大切にしています」と高橋和寛シェフ。表面はカリッと焼いてあるのが特徴だ。ソースとして添えられているのは玉ねぎ(上)とリンゴ(下)のジャム。玉ねぎのジャムは赤ワインで酸味を加えている。

「ブーダンを焼いたものは初めて食べた」と、シェフの技術にも感嘆 撮影=山田大輔

一口食べた髙嶋は「う~ん」と唸りながら、笑みをこぼす。

「焼きがまた最高! ブーダンを焼いたものは初めて食べました。中は、ほんのりあたたかいくらいかと思ったら熱々で、技術がすごいですね。まさに佐々木章太さんの煮えたぎる血流のような熱い料理です(笑)。玉ねぎのジャムも合いますねぇ」

口に運ぶたびに頷いたり、唸ったり感嘆する髙嶋。

「スッポンの血などは、飲むサプリのような感覚ですが、これは完全なる料理。“これだけ食べたい”という一品ですね」