髙嶋政宏、グルメの原点は「富士そば」のコロッケうどん 「なんてウマいんだろう!」と感動した思い出の一杯<3週連続インタビュー:第1回>

2021/08/20 16:00 配信

芸能一般 インタビュー

さまざまな人との出会いで世界が広がった


髙嶋は「元々は同じお店に通い続けるタイプだった」と語る 撮影=山田大輔

「ここまで話をしてきて分かったと思うんですけど、僕、元々は行列店とか予約が取れないような名店はずっと避けていたんですよ」という髙嶋。店にパッと行って食べられない、ということの意味が分からなかったのだそう。

「なので、いま言ったようなお店はもちろん、気に入ったお店を見つけたら、とにかくその店ばかり。メニューにないものが出るまでとことん行き続けて、中華料理のお店なんて、僕が何も言っていないのに、お店の方が、にんにくと青唐辛子をカウンター越しに乗っけてくる、みたいな(笑)。そこまで通うタイプだったんですよ」

いわば“博愛”とも言える食べ歩きとは対極の“偏愛”主義者を貫いていた。そんな髙嶋の世界が変わったのは、いろんな人との出会いがきっかけだという。

「ラーメンの鬼・佐野実さんとの出会いは大きかったですね。佐野さんが亡くなられた今でも奥さんのしおりさんや『チーム佐野JAPAN』の人たちと仲良くて一緒に食べ歩きもしますけど、当時からいい思いをさせてもらいましたね。おかげさまで、ラーメンはずいぶんと食べてきました。何なら、かんすいの本まで持っていますから。ラーメン作らないのに(笑)」

その美味しさに自然と笑みがこぼれる   撮影=山田大輔

グルメドキュメンタリーに出演するようになってからは、さらに出会いも増えた。

「構成作家やプロデューサーの方が、いろんな名店の予約を持っているんですよ! そうすると、自分で予約をしていないのに、そこに行けちゃう、という(笑)。『パレ・ド・Z~』の担当作家である塩沢航さんには本当に世界を拡げて頂きましたし、超名店との出会いが一気に増えました」

 そこから現在の髙嶋が形成されていくわけで、まさに“運命の出会い”と言っても過言ではないだろう。そんな出会いは、もちろん役者人生でもときどき訪れるという。

「今回の舞台『醉いどれ天使』はそう言えると思います。まず演出を手がける三池崇史監督。僕がすごく出たいと思っていた監督で、さらに僕が映画界で神と崇拝している黒澤明監督と三船敏郎さん、そのゴールデンコンビの原点となった作品でもあるんです。『用心棒』や『椿三十郎』から始まって、『七人の侍』を見て、そこから遡ったときに見て衝撃を受けた『醉いどれ天使』の舞台化。お話しが来たときは、もう、震えましたね。これは関われるなら、どんな役でもやる!と思いました」

第2回の料理テーマは「肉の本質を伝える」。配信は8月27日(金)に予定しております。

取材・文=四戸咲子