吉沢亮、慶喜役の草なぎ剛への思いを明かす「栄一が抱く慶喜への尊敬と自分が草なぎさんに感じている尊敬には、リンクしている部分があるかもしれない」<青天を衝け>

大河ドラマ「青天を衝け」で主人公・渋沢栄一を演じる吉沢亮 (C)NHK

自分がやることに対して、余裕がなくなってきていたように感じます


農家の長男として生まれた栄一は、商人、尊王攘夷の志士から幕臣へと波瀾(はらん)万丈の人生を歩んできた。中でも幕臣時代には徳川慶喜(草なぎ剛)の弟のお供として渡仏まで経験。

そこで株式会社とバンクの仕組みを学び、慶喜が隠居していた静岡の駿府で手腕を発揮。そのことが評価され、明治新政府から声が掛かり、元幕臣にもかかわらず、新政府へ出仕。大隈重信(大倉孝二)や伊藤博文(山崎育三郎)らと新たな日本の形を作るために尽力してきた。

「新政府に入ってからも能力を発揮してきましたが、駿府で合本の会社(私益でなく、公益を追求する会社)を作ったときのような商いの世界で生きていたときの、栄一風に言うと胸の“グルグル”があまり感じられず、正しいことをしているはずなのに面白くないとずっと感じてきました。

その中で栄一自身も気付かないうちに“官の人間”になっていた。そんなつもりはなかったのに商人は役人の言うことを聞くものだという姿勢になってしまっていたんです」

元々、官尊民卑の世の中に納得できず、皆が幸せになる社会を目指している栄一は、このことに大きな葛藤を抱く。

「これまでは自分で正しいと感じることを全力でやってきたので、相手が目上の人であろうと年上の人であろうと、正しいと思った道を突き進んできました。

しかし、大人になり、それこそ新政府で働いてからは、自分が正しいと思う道に進むための手段として、自分の道理から外れたこともせざるを得なかった。何かを切り捨てることを致し方なくやる。葛藤も抱えていますし、間違っていることも自分を俯瞰で見たら気付いている。でも、やめられない。自分がやることに対して、余裕がなくなってきていたように感じます」

そんな栄一に声を掛ける人物が現れる。ディーン・フジオカ演じる関西の実業家・五代友厚だ。

「ディーンさんは同じ大森美香さんの脚本の『あさが来た』(2015~2016年、NHK総合ほか)で、五代さんを演じられているので、体に役が染み付いている感があります。ディーンさんであり、五代さんでもある。ディーンさんと五代さんの人柄が共存しているように感じられるので、一緒にお芝居をしていて気持ちがいいなと感じますし、魅力も感じます」

五代の言葉を受けた栄一は政府を退職。10月24日(日)放送の第32回で日本初の銀行の総監役となり、33歳でいよいよ栄一が目指す民間改革に着手することになる。