宮藤官九郎が脚本を担当する'19年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(NHK総合ほか)で、主演を中村勘九郎と阿部サダヲが“リレー方式”で務める。
大河ドラマで、“リレー方式”で主役をバトンタッチするのは「葵 徳川三代」(2000年)以来となるが、「いだてん―」ではどんな登場人物がバトンをつなぐのか。
同作は、日本人が初めてオリンピックに挑戦した1912年ストックホルム大会から、1936年ベルリン大会、1964年東京大会の3大会を中心に、日本人とオリンピックの歴史、その激動の52年間を描く。
日本人とオリンピックとの関わりは、ストックホルム大会を控えた1909年、東京高等師範学校の校長・嘉納治五郎の元に、オリンピックの招待状が届いたことに端を発する。
出場者を選抜すべく、早速、予選会が開かれるが、このときマラソンで優勝したのが金栗四三(かなくり・しそう)だ。熊本の山奥で育った超自然児は、“オリンピック”という言葉も知らぬままに予選会に参加し、世界記録を樹立。大会本番では、日射病で失神する“国辱”を味わうが、翌日には発奮して、再び走り出す。
しかし、再起を誓った4年後のベルリン大会は、第1次大戦により中止。教師となって育てた後進が活躍するはずだった1940年の東京五輪も、第2次大戦により幻と消える。度重なる悲運にもめげず、寡黙に笑顔で走り続ける“太陽のような男”を勘九郎が演じる。
もう一人の主人公は、競技者ではなく、五輪招致に執念を燃やした男。政治記者でありながら、水泳コーチとして日本水泳の礎を築いた田畑政治(たばた・まさじ)は、1932年ロス五輪、1936年ベルリン五輪に指導者として参加していた。
“日の丸”に涙する日系人の観客を見た田畑は、“平和の祭典”としてのオリンピックに魅了される。以来、五輪招致に力を注ぐが、戦争によって1940年に予定されていた東京五輪の開催権は返上されることになる。
しかし、情熱が失われることはなく、敗戦の食糧難の中、マッカーサーと直談判。いち早くスポーツ界の国際復帰に成功すると、ついに1964年には念願だった東京五輪まで実現させる。目的に向かいイノシシのように直進する熱情家を、阿部が演じる。
主演発表会見では、坊主頭で登場した勘九郎が、「金栗さんは、教師時代、いつもにこにこにこにこしていて、生徒に“おしゃか様”と呼ばれていたそう。長きにわたる撮影ですが、笑顔を絶やさず、体力・気力・努力で走り抜けたいと思います」と意気込みを表明。
一方、阿部は、「長く役者やらせてもらってきましたが、最近裏方の仕事に興味が出てきたところだったんです。(田畑は)プロデューサー的な人なのでで、うれしいです」と喜びを語っていた。
そんな金栗と田畑を見守るのは、古今亭志ん生。希代の落語家と評された本人は鬼籍に入っているが、彼が「東京オリムピック噺」という架空の落語を披露しているという設定で物語を進める。1890年から1973年の生涯は、「いだてん」で描かれる歴史全体を内包していて、志ん生自身の波瀾万丈の人生もドラマ内に挿入されるという。配役は発表されていないが、誰が志ん生を演じるかにも注目だ。
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