――新型コロナウイルス感染症の影響などもあり、満を持しての公開となります。今のお気持ちを教えてください。
コロナ禍になるよりもっともっと前に収録をしていたんですけれど、「一番良い形で皆さんの元に届くように」ということで、一番届けたい人たちに届く時期まで、この子たちは機会を見ていたんだなと思っています。
ただ、いつ見ていただいても見ていただいた方の心に間違いなく届く作品だということは分かっていたので、公開を楽しみにしていました。
――本作を初めて読んだ時の印象はいかがでしたか?
タイトルですでに「さよなら、ティラノ」って言ってるじゃん! と思いながら読み進めて、さよならを迎えるという…その流れがエモいけれど、切なかったです。
“その時”が来ると思って構えて読むと、「なんでこの人がさよならをすることになるのか」という結果を見つけようと思って読むんです。それがしっかりと描かれているので、湧き上がってくるものがありました。
――台本を読んでグッときてしまうことって結構あるんですか?
そうですね。やっぱり誰かが命を懸ける理由がある作品には心が動いてしまいます。今回トプスは守られる側ですが、私自身、演じるキャラクターが命がけで戦うことも多かったりして。
でも、命を懸けられるほど大事なものがあるというのは、怖いことでもあるけれど、ある種、幸福なことでもあるんだなというのは今まで命を懸けてきた子たちを見て思います。
――今回演じたトプスの印象や演じるうえで意識されたことがありましたら教えてください。
プノンは自分の為にも頑張れる子なんですけれど、どちらかというと誰かのために頑張れるタイプの女の子だと思うんです。その中で冒頭のトプスはただ愛くるしくて、何にもできなくて、プノンが「守ってあげなきゃ!」と焚きつけられる物語としての歯車だったんです。
そんなトプスがプノンやティラノの勇気を見て、友情を覚えて、「自分も何かしたい!守ってあげなきゃ!」と成長していく…なので、現実を見た時のトプスと大事な思い出を思い返している時のトプスで、赤ちゃんが子供になるような成長が表現できたら物語の邪魔にならずに彼のストーリーも描けるのかなって思いました。
この作品ってすごく特殊だなと感じたのが、年齢や性別などが関係なく、お友達として描かれるんです。(トプスの)おじいちゃんたちもいるので、そこでのトプスは赤ちゃんで、小さくて、かわいくて、守ってあげなきゃいけない存在なんですけれど、それでも対等に扱われていて…もしかしたら動物の世界ってこうなのかもって思いました。
――そんなトプスと悠木さんの共通点はありますか?
皆さんも共感してくれるところがちょっとあるかな? と思うんですけれど、やりたいことと自分のスキルの差が激しいことですね(笑)。
それこそトプスは(物語の中で)自我が芽生えて、「これもやりたい!あれもやりたい!」って思うけれど、体のサイズが変わっていないので、「何にもできないじゃん…」って…この感じって、きっと人生で一度はみんなが味わったことがあるんじゃないかなって、私は大人になってからも味わったことがあるので、トプスはどちらかというと子供より大人に刺さるキャラなのかな? と思いました。
いろいろなことを背負っている我々にトプスが「そういうの大変だよね」って言ってくれているような気がしています。
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