「オールラウンダーで頑張っていこうと思っています」
――悠木さんが演じるトプスが本当に愛くるしかったのですが、あの声はすぐに決まったのでしょうか?
確かもっと少年に作っていったんじゃなかったかな?…と。収録したのがだいぶ前なので記憶があいまいなんですけれど、「もっとかわいくしてほしい」と言われた気がします。
実はオーディションはプノンを受けていたのですが、「トプスで」と言っていただいたので、そこから自分ができるトプスのパーツは何かな? と探していきました。
あざといくらいかわいくていいのか、天然な生き物としてかわいいのか、絵がとてもかわいいのでやり過ぎた方がいいのか、やり過ぎない方がいいのか…シーンによっても違ったので、チューニングが難しいなと思いました。
――トプスの成長を描くうえで変えた部分はありましたか?
台本自体が(前半と後半で)とても変わっていて、最初のトプスは「ぽわぽわでね~」や「お母さんがね~」って、本当に1歳か2歳の赤ちゃんみたいだったんですけれど、友達が増えたことで会話をするようになって、「お姉ちゃん、大変だよ!」って言うようになったり、ハキハキ喋るようになって、語彙が増えていったんです。
トプスは何を見せたいのかがとても明確なキャラクターだったので、台本通りに演じられればちゃんと成長するようによくお話が練られていたと思います。
――トプスのセリフではない部分もとてもかわいかったです! あのような表現はお得意なんですか?
ありがとうございます…! セリフで説明してくれている時は、ちょっと引き算した方が言葉の意味が伝わったりする時があるんですけれど、トプスのように言葉が足りない状態の時はちょっと盛ってあげないと何を考えているか分からないんですよね。
例えば最初の方でトプスがお腹が減っちゃって“ぺちょ”ってなる場面でも「ふに」って入れてみたり(笑)。
――…! あれって悠木さんのアドリブなんですか!?
(トプスの)小さい動きについているのはだいたいアドリブでつけています。「…」とかは台本上にあったりするんですけれど、細かくついているものはアドリブで入れていました。
トプスの動きもコミカルだったので、(細かく)入っていた方が子供たちが見てくれた時に楽しいかな? と思って、ちょっと味をつけてみました。
ただ、得意かと言われると…でも、動きに合わせていろいろなものを入れていくのは楽しかったです。得意でいうと何なんだろう? 最近よく言われるのは早口なもの…あと、業界に来た当初は泣きの芝居があるものがオーディションでは受かりやすかったんですけれど、最近はどっこいの打率ですね(笑)。
でも、不思議だな、うれしいなと思うのが、ファンの皆さんに「悠木碧と言えばどの役ですか?」と聞いた時に、全然違う答えが返ってくるんです。
声優さんって声自体に特徴があると、「これと言えばこの人!」というようなことがあるんですけれど、私はいろんな役、いろんな色で挙げていただいて、オールラウンダーで頑張っていこうと思っています。