「直虎」六左衛門が受ける“やさしいいたずら”とは!?

2017/05/02 18:41 配信

ドラマ

直虎の家臣・奥山六左衛門役の田中美央(右)と中野直之役の矢本悠馬(左)(C)NHK

柴咲コウ主演の大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK総合ほか)。井伊直虎(柴咲)は、今川方に付いた幼なじみの筆頭家老・小野政次(高橋一生)の妨害に遭いながら、当主として井伊家の立て直しに奮闘している。

そんな直虎の家臣として仕える奥山六左衛門役・田中美央に直撃。奥山朝利(でんでん)の子とは思えないほど気の弱い六左衛門だが、今後、物語が進んでいく中で少しずつ変化していくという。そんな六左衛門の成長と共演者とのエピソードを聞いた。

――大河ドラマは今回が初出演ですが、出演が決まったときの感想はいかがでしたか?

まず、テレビに出演することがほとんどなくて、顔合わせでも子役の方たちが「朝ドラに出ました」、「大河に出ました」と経歴を話している中で、僕はいくら思い出しても大学生の時に出た「ストレッチマン」(NHK Eテレ)の怪人役しかなかったんです (笑)。

ずっと舞台を中心に活動してきたのですが、映画「日本のいちばん長い日」(2015年)への出演をきっかけに、プロデューサーからオーディションを受けてくださいと言われて。役が決まった時は、宝くじに当たったような気持ちでしたし、実家が大騒ぎになりました。

――放送の反響はいかがですか?

放送されるたびに、母親から「○○さんから、こういう感想が届きました」とメールが来ます。両親とも役者をやることは応援してくれていたのですが、70歳を超えて心配になってきたのか、去年くらいから「大河には出られないのか?」と聞かれるようになったんです。ちょうどオーディションを受けて結果を待っている時期だったのですが、「出られるかも」とも言えず…。

合格したと伝えたときは喜びを大爆発させていましたが、そのあとで「皆さんに見てもらうんだから、まずは、やせなさい」と。放送が始まった今でもメールで言われるんですよ。「これでオーディションに受かったんだけどな」と思いながら聞いています(笑)。

――現場に入ったご感想はいかがでしたか?

撮影は、ロケとセットが半々ぐらいか想像していたのですが、入ってみるとセットのことが多くて。ということは、これまで僕が見てきた大河ドラマもセットで撮っていたのかと思って驚きました。セットに入るたびに、直前まできょろきょろしています。

――頼りないところもある六左衛門ですが、田中さんはどのように捉えていますか?

本当に頼りないです(笑)。ただ、直虎とも中野直之(矢本悠馬)ともいい関係を築いていて「なんでだろう」と考えていたんです。それで気付いたのが、奥山家はわりと女系の家族なので、六左衛門はその中で、女性の顔色を伺うのが上手になったのではないかということでした。

そこに気付いてからは、少し演技の幅が広がりました。それまでは「怖い、怖い」とかオロオロする演技しか思いつかなかったのですが、段々と「殿は今こう思っているはずだから、自分は先に元気になっておかないと」というふうに、少しずつ直虎の半歩先を行ったような発言も出てきます。

――同じ家臣の直之は六左衛門とは対照的な性格。六左衛門はどのように見ているのでしょうか?

矢本さん自身も本当に面白い方で、小さいけど兄貴分。六左衛門は、いつも直之が先に怒られてくれるので、「ここまで言うと怒られるんだな」と見ているんだと思います。よく考えると、六左衛門は兄がいた時も、兄弟の顔色を見ながら、こんなふうにのんびりやっていたんだろうなと思いますね。

――直虎と直之はよく対立しますが、そんなときの六左衛門の心境はどう想像しますか?

僕は、ぼたんみたいな目になっています。止めるのも怖いし…無になっています(笑)。「俺はいないぞ」って。あの二人が始まってしまったら、六左には手を出せないです。

――共演者の方との会話で、印象に残っていることはありますか?

まさに“芸能人”という方ばかりで緊張していたのですが、皆さん本当に気さくで、僕が緊張しているのを察して周りから話しかけてくれるんです。

あとは、作中で、政次は六左衛門のことを「ここは穴だな」と思って、たびたび突っついてくるのですが、最近は、撮影合間にも一生さんにやさしいいたずらを受けています。

リハーサルの時、去り際にさらっと手を触られたり、誰かに見られている気がして見回したら、ものすごく遠くから一生さんに見られていたり(笑)。ものすごく、やさしいいたずらなんです。

――柴咲さんの印象はいかがですか?

コウさんは座長として本当に大きな存在になっています。最初の頃はみんな一緒に不安を共有していたのですが、次第に率先して監督と話し合いをされるようになって、シーンの疑問点を解決したり、方向性を明確にしてくれたりしています。僕は撮影用語も全然わからなかったのですが、コウさんが全部教えてくれました。

それから、最初のロケの時に、コウさんと乗馬シーンを撮ったのですが、待ち時間にコウさんがしゃがんで何かしていたんです。「何をしているのかな」と見ていたら、四つ葉のクローバーを探していたんですね。「何てかわいらしい人なんだ」と思いました。

それは、実は六左衛門の心境と重なる部分があると思っていて。六左衛門も、直虎の女性としての部分を感じて「守ってあげたい」と思っている。でも、直虎自身も「家臣を守りたい」と思っているので、お互いに優しさで包みあっているような、そんな関係なんだと思います。