川口春奈主演の木曜劇場「silent」(毎週木曜夜10:00-10:54)は、10月20日に放送された第3話もTwitterのトレンドランキングを席巻するほどの話題作。高校時代の恋人同士が8年の時を経て再会し、目黒蓮演じる想が耳の病気を患っていたという現実を受け入れていく姿を描く。フィルム映画のような美しい描写や音楽、温かい思いやりをもった人物たちの気持ちが伝わる脚本も話題だが、登場する様々なアイテム(道具)から演出の丁寧さを感心する視聴者も多い。(以下、ネタバレが含まれます)
今作は『フジテレビヤングシナリオ大賞』受賞作家である生方美久の完全オリジナル作品。主人公・青羽紬(川口)が、本気で愛するも別れることになってしまった高校時代の恋人・佐倉想(目黒)と8年の時を経て偶然、再会。そこに待ち受けていた現実と向き合いながらも寄り添い、乗り越えていこうとする姿を描く。
障がいを患ってしまった想本人はもちろん、家族や友人、そして元恋人の紬が病気に葛藤してすれ違い、その後受け入れて生きていこうとする様子は、毎回視聴者に大きな感動を与えている。
「silent」という作品の何が今、観る者の心をつかんでいるのか。役者の演技力や人気はもちろんだが、全体を包み込む細やかな演出の力も大きい。再会した後の想は、後ろから話しかけても振り向くことはできないし、電話をかけても通話ボタンを押して話すことはできない。“音のない世界”は、健常者がいつも何も感じず当たり前に行動していることが通じないのである。お互いが歩み寄る場合は、想像を最大限に膨らませることで相手を思いやることができるだろう。
「もう聴こえないんだ」ということを想が説明しなくとも、随所にそれが分かるシーンが多いため、見ている者により切ない気持ちを抱かせる。
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