尾野真千子が繊細に表現する、失踪前の“F”の心情の変化<すべて忘れてしまうから>

2022/10/27 19:42 配信

ドラマ レビュー

「すべて忘れてしまうから」第7話は、ディズニープラスのスターで配信中(C) Moegara, FUSOSHA 2020

阿部寛が主演を務めるドラマ「すべて忘れてしまうから」の第7話が10月26日に配信された。第7話では、ある日突然姿を消した“F”(尾野真千子)の物語が、現在の姿とともに描かれた。(以下、ネタバレを含みます)

同ドラマは、今最も話題の作家の1人である燃え殻のエッセイを国内トップクリエイターがドラマ化した話題作。阿部演じる作家“M”を主人公に、消えた彼女“F”(尾野)を巡る、大人の心に染みわたるミステリアスでビタースイートなラブストーリー。ディズニーの公式動画配信サービス・ディズニープラスの「スター」で毎週水曜昼4:00より独占配信中だ。

物語の主人公となる“M”を阿部、“M”の失踪した彼女“F”を尾野が演じる他、“M”の行きつけであり、物語のキーとなる舞台“Bar 灯台”のオーナーをChara、同じバーで働く元バンドマンの料理人役を宮藤官九郎、“F”の元同僚役で大島優子、そして“F”の姉役で酒井美紀が出演。さらに、異例の試みとしてエンディング楽曲を毎話異なる10組のアーティストが担当している。

尾野“F”が祖母と初対面

「すべて忘れてしまうから」第7話より(C) Moegara, FUSOSHA 2020


2年前、“F”は姉(酒井)と共に今まで会ったことのなかった母方の祖母(草笛光子)と初めて会っていた。26年前に事故で亡くなった母親は20歳で家出したことを明かし、自分は余命1年で今のうちに会っておきたかったという祖母に対し、「今さら」という思いで愛情が持てない姉。一方、“F”は祖母を受け入れようとする。

後日、“M”に連れられ「Bar 灯台」を訪れていた“F”は、トイレが混み合っていたことからやむを得ず近くのコンビニへ。そこで、“M”からおつかいを頼まれていた店員のミト(鳴海唯)と遭遇し、話の流れでそのまま行動を共にする。

数カ月後、祖母の自宅で入院準備を手伝っていた“F”は、祖母から「まとまった額の資産があるの。欲しければ全額あげる」と告白され、「ただし、欲しいならそう言いなさい。変わるつもりがあるなら」と迫られる。逡巡しながらも“F”は「欲しい。全額私にちょうだい」と決意を固めた目で言い放つ。

“F”が失踪前に抱えていた思い

「すべて忘れてしまうから」第7話より(C) Moegara, FUSOSHA 2020


2年前、人知れず人生の転機を迎えていた“F”の物語が描かれた第7話では、現在の姿と回想シーンを織り交ぜ、尾野の情感あふれる演技が満載。高級リゾート地でひょんなことから知り合った男性と楽しそうに過ごす姿や自分はいったい何がしたいんだろうという葛藤や迷い、悲しみ、そして決意などさまざまな心情を豊かな表情で表現し、祖母との再会で起こった心境の変化を繊細に表している。

また、いまいち関係性の分かっていなかった“F”とミトが仲良くなったきっかけも明らかに。第6話では「“F”の居場所を知らない」と“M”に告げていたミトだが、一方で第7話では“F”へのメールで「先生にバレた」「居場所は知らないことになってる」と“報告”しており、やはりミトは“F”サイドの人間で、“失踪先”を知っていて黙っていたようだ。