娘が元夫の家に泊まる夜、青木さやかが「一人の夜にやりたいこと」【「娘とわたし」#5】

2022/11/11 18:00 配信

芸能一般 コラム 連載

寒かった先日、娘と。モコモコの冬じたくで、ピース!(C)青木さやか

タレント・女優として活躍し、昨年は初のエッセイ集『母』が話題となった青木さやか。『母』に描いた自身の母との関係に悩んだ過去を乗り越え、現在は中学生になった娘を育てるシングルマザーである。第5回の今回は、週に1度やってくる、娘のいない夜に思うこと。

娘のいない夜

娘は週に一度、パパ宅へ行く。学校からパパ宅へ帰り泊まって翌日学校へ向かう。よって娘は、わたし達が離婚して10年ほど、お互いの仕事や体調の事情で変更がない限り、毎週同じ曜日にパパ宅へ行く生活をしている。これも世の中で言うところの「共同養育」のひとつの形なのだと思う。最近では娘の意思が優先になり、今週はママの家にいた方が友達と遊ぶのに都合がいい、とか、久しぶりにパパのところにもう少し居てあげたい(居てあげたい、というところがなんとも偉そうで笑える)とか、イレギュラーの動きもあるのだが。

基本的には週に一度の、わたし一人の夜。それはそれは、わたしにとって、実に待ち遠しい夜なのである。さて、何をしようか。

夜遅くまで帰らなくてもいいわけだから、シガーバーでも行こうかしら!あの路地にぼやぁーと看板が光っていたらお店はあいている。一見さんお断りの知る人ぞ知るシガーバー。シガーもやらないしお酒も飲まないけれど、久しぶりにマスターに会いたいし、子連れの雰囲気ゼロの薄暗い蝋燭の灯りのお店でパイナップルジュースをでっかいグラスでいただきたい。そんな夜を夢見たり。

娘がいてはできないことを家でするのも良い。

何がしたいって、辛いお菓子と甘いお菓子とジュースを、ベッドサイドに準備して、寝転がって順番に食べながら、そのまま寝たり起きたり、また食べたり。久しぶりに漫画でも読みたい。TSUTAYAで借りてこようか、ときめきトゥナイト。王家の紋章。アキラ。読みながらうたた寝してからの麦チョコのあとのポテトチップス。あの、独身時代の決して子供には真似してほしくはない夜を過ごしたいのだ。あれは楽しかったもの。

ナイトショーの映画を観るのもいい。そうだ。トップガンマーヴェリックがもう一度観たい。あれはよかった。興奮した。かっこよかった。トム・クルーズ。美しかった。ジェニファー・コネリー。50代にしてあのスタイル。内容も素晴らしく興奮ついでに出演者全員のInstagramをフォローしてしまったほど。もう一度、今度は4DXの劇場で観てみたい。噂によると臨場感が半端なくポップコーンが箱から飛びだしてしまうというではないか。新調した眼鏡で、トム・クルーズの上半身の裸体をきちんとみたい。エロスの目線ではなくて、60歳の裸体を、きちんと、みたいのだ。そして、同じ人間ならば頑張ろうよと、油断しているわたしの二の腕とウエストに語りかけてあげたいのだ。

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