<エルピス>長澤まさみ“恵那”と眞栄田郷敦“拓朗”、点が線になり始めて事件の核心にさらに近づく

2022/12/06 15:35 配信

ドラマ レビュー

「無実ですよ。松本は」


「エルピス」第7話より(C)カンテレ


そんな中、拓朗は、松本を取り調べた刑事・平川(安井順平)に呼び出される。何でも話す代価として要求した50万円を拓朗から受け取った平川は、以前は「話すことはない」と言っていたのに、ベラベラと話し始めた。「無実ですよ、彼は」――平川はハッキリ言った。当時、現場の刑事たちは皆、松本の逮捕がでっちあげなのをわかっていた、と。犯人の身代わりは誰でも良かったのだと。署長よりずっと上の強い圧力がかかっていて、よっぽどの裏事情があるのを感じていた、と。

「真犯人をどうしても逮捕させたくないみたいだった」と言う平川に、真犯人を知りたいと思わなかったのか、と問うと、「思うわけないでしょう。知ったら余計な悩みが増えるだけ」との答えが返ってきた。県警の腐敗っぷりをさんざん愚痴りながらも「自分はその中でも“正義側の人間”」としゃあしゃあと言う平川。50万円を要求しておいて何が“正義”だ。拓朗もそこをツッコんだ。すると彼は「自分の物を買うつもり無いんで」と、まったく悪びれずに答えた。誰の物を買おうがどうでもいい。金銭…しかもそこそこの大金を要求していることが間違っていると思っていないことがもうダメダメだ。平川の話し方、態度、言い分、すべてがムカムカしてくる。

「マジ、クソっすね」「百も承知ですよ」


平川は「今となっては真相の解明を願ってる」と言い、真犯人を見つけたいなら12年前の事件より、手がかりや証拠が手つかずで残っている去年の事件を追った方がいい、とアドバイスした。平川曰く、この事件について、県警は捜査はやってるフリをしているだけ。理由は、「うっかり」犯人を見つけて、それが12年前と同一犯だったら大ごとだから。だから、事件から自分が外れる日か世間が事件を忘れてくれるのを待っているのだと。

聞いているだけでどんどん気分が悪くなり、そろそろ限界だな…と思ったタイミングで拓朗が言った。「マジ、クソっすね」。全視聴者の総意を絶妙なタイミングで代弁してくれた。Twitterには「そのとおり」「拓朗が言ってくれてスッキリした」と溜飲が下がったコメントがいっせいに書き込まれた。

クソなことは百も承知だと言いながら、「(真犯人が)これ以上罪を重ねないように早く息の根止めてやってくださいよ」とUSBを拓朗に渡し、平川は去った。

商店街の不気味な男の正体、判明


そして拓朗は、恵那に頼まれた大門の周辺人物を調べ始めた。すると、八飛の最大手の土木建設会社・本城建託の社長・本城総一郎と大門は幼なじみで、本城はかなりの支援者だとわかった。そして、本城の長男・彰(永山瑛太)は、以前恵那が商店街のアヤしい店で出会った薄気味悪い男だと判明した。

拓朗がその事実を恵那に告げると、彼女は彰に会った時のことを思い出し、鳥肌が立った。事件について尋ねた恵那に「その話をするなら、僕はまずこの店を閉めなければ。シャッターを下ろして鍵を締め、この電気を消し、そしてアナタが聞くと言うのなら…話しますよ」と答えた、何の感情も読み取れない目を持った男。恵那はあの時、見つめられただけで体が動かなくなったのだった。

第3話で登場したきりで謎の人物だったアノ不気味な男の正体がやっとわかり、しかも、真犯人の可能性が高まってきた。前回登場した時も「あの目、ゾッとする」と話題騒然だったが、彼がもし犯人だと仮定して、恵那に言った言葉を思い返すと、さらに背筋が寒くなる。有力な真犯人候補の登場で、次回以降ラストまでの展開にさらに期待が高まった。

◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョンドラマ部