“医療ヒューマンドラマ”の金字塔「Dr.コトー診療所」映画化を機にその感動の魅力を紐解く

新作のコトーは変わらざるを得ない状況に直面?

海を眺めるコトー(C)山田貴敏 (C)2022映画 「Dr.コトー診療所」製作委員会

2003年に放送された第1期の中で、忘れられないコトーの台詞がある。それは、「世の中には、変わって良くなるものとそうでないものがあると思います。僕は、この島には変わらないでいてほしい。変わらないことが魅力になる日が、いつかきっと来るような気がします」というものだ。便利とは言いがたいが、美しい自然とあたたかい人たちに囲まれた志木那島。きっとコトーだけではなく、ドラマを観ている人は誰もが変わって欲しくないと感じたことだろう。

映画「Dr.コトー診療所」の予告編では、喜ばしいことにあの頃と変わらない志木那島でのコトーの日常が、ドラマシリーズを彩ってきた中島みゆきの「銀の龍の背に乗って」とともに映し出される。19年間、島にたった一人の医師として、そこに生きる人々の命と健康を預かってきたコトー。これからも変わらない日々が続くと思っていたが、そんなコトーに過疎高齢化による財政難にあえぐ近隣諸島との医療統合、そしてその拠点病院で働かないかという話が持ち上がる。「変わらないことが魅力になる日が、いつかきっと来る」と信じてきた彼が、変わらざるを得ない状況に直面するのだ。果たしてコトーがどんな決断を下すのか、映画館でその行く末を見守りたい。

■文/苫とり子

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