吉岡はこれまでのシリーズを見直して撮影に臨んだというが、柴咲は逆に見なかったそう。
柴咲:一人の人生だと考えると、ビデオや写真といった自分の回顧録みたいなものは、そんなに見返さないなと思って。役者としては見た方がいいとは思うのですが、どこか縛られたくないという思いがありました。その方が自由度があるかなって。
吉岡:その方がいいと思います。僕と監督が客観的に見るのでバランスとしてちょうどよくて。見た感想はやっぱり面白かったのと、「みんな頑張ったな」と。当時は手探りでしたから。最初のシリーズなんて最終回直前まで撮影していて…。過酷でしたよ。
柴咲:本当に大変なことばかりでしたよね。でも今回は20代の頃より少し気も長くなって、いろいろと待てるようになった気がします(笑)。久しぶりに皆さんとコミュニケーションが取れたのもうれしかったですね。
吉岡:泉谷(しげる)さんも相変わらずだったしね。柴咲さんがずっと話し相手をしていて…。
柴咲:泉谷さんが一番変わらないかも(笑)。ずっと話していましたから。でもそれも楽しくて。
吉岡:泉谷さんもだけど、(小林)薫さんとのシーンも楽しかったですね。
柴咲:薫さんと一緒だと絶妙な空気感があって、笑いが止まらなくなるときがあるんですよ。星野家のシーンは楽しかったです。
吉岡:皆さん、作品もそうですが自分の役を好きなんだと思います。久しぶりに役者に戻ってきてくれた剛洋役の富岡涼くんと話をしていても、誰よりも剛洋のことを理解していたし。それぞれの16年後を見に来てほしいです。
改めて、2人が「Dr.コトー診療所」という作品と出合ったことで変わったことは?
柴咲:愛を知りました。家族や愛に、形は関係ないなと。
吉岡:「島民全員、みんな家族みたいなものだ」という和田さん(筧利夫)のセリフそのものですね。
柴咲:そういう意味で、今の時代に必要な作品だと思います。
吉岡:この作品を喜んでもらえるということは、世の中がコトー先生のような人を求めているとも言えます。コトー先生が求められる意味や、コトー先生がいない理由などを少し考えてもらえるとうれしいです。
柴咲:そして(中島)みゆきさんの音楽を聴いて、島を感じていただきたいです。本当に島の空気は最高ですから。
吉岡:今作の主役は“時間”だと思います。コトー先生や島のみんな…演じている僕らも平等に16年たっているので。ぜひそれぞれの時間を味わってください。
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