川口春奈主演の木曜劇場「silent」(毎週木曜夜10:00-10:54)の最終回が12月22日に15分拡大で放送される。言わずと知れた話題作となった「silent」が、ラスト1話で終わってしまう。木曜夜の放送を見て、動画配信サービスで“おかわり視聴”して毎回泣いて、紬(川口)と想(目黒蓮)たちが手話で紡ぐセリフの一つ一つに胸を打たれてきた視聴者にとって、2人の恋がどんな着地点に向かっていくのかが今一番の関心事ではないだろうか。“これ以上、想の目から涙が流れるところを見たくない”。筆者もそんな感情にまで至ってしまった一人である。(以下、ネタバレが含まれます)
今作は「フジテレビヤングシナリオ大賞」受賞作家である生方美久の完全オリジナル作品。主人公・青羽紬(川口)が、本気で愛するも別れることになってしまった高校時代の恋人・佐倉想(目黒)と8年の時を経て偶然、再会。そこに待ち受けていた現実と向き合いながらも寄り添い、乗り越えていこうとする姿を描く。
10月6日放送の「silent」第1話を見て、エンディングにOfficial髭男dismの主題歌「Subtitle」が流れた瞬間のことを鮮明に覚えている。紬が、高校の頃の恋人・想の姿を見つけて、一言だけでも話がしたいと近付いたが、想は耳が聞こえなくなっていた。手話で「一緒にいて音楽も聴けない。声も聴けない。好きだったから。会いたくなかった。忘れてほしかった」と畳みかけた想は紬に「お前、うるさいんだよ」と残して去った。そのとき、紬は目の前にいる想がまるで叫んでいるように激しく手話をしてきたという事実に涙を流して立ち尽くすことしかできなかった。
この虚無感。以前、好きだった人が自分と異なる対話法を使い、今にも泣きそうな悲しい顔で自分を拒否してきたというショックで、視聴者は紬同様にぼう然と泣くしかなかっただろう。
あの衝撃の1話から、私は「silent」の沼にゴロゴロ転げ落ちハマってしまった。高校時代が描かれれば、お似合いの美男美女である紬と想の恋を見てキュン、そしてニヤニヤ…。紬と湊斗(鈴鹿央士)、想の三角関係で揺れる恋愛模様に胸が締め付けられて“ドキドキ”と“ぽわぽわ”の恋どちらがいいかなどを真剣に悩み、想に手話を教えてくれた奈々(夏帆)の切ない恋も見守って涙を流してきた。病気と向き合う想の家族にも「それぞれ皆、乗り越えてきたんだなぁ」と思いを馳せたり。「silent」を見ているときは、まるで現実の世界に彼らが実在しているかのように登場人物たちの人生を想像して楽しんだ。
そう、好きになってしまったのだ。紬同様に想のことを。
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