川口春奈“紬”と目黒蓮“想”の物語を見届けたなら「伝えることを諦めないでほしい」<silent>

2022/12/28 14:47 配信

ドラマ レビュー

「silent」第11話より(C)フジテレビ

今冬は、川口春奈主演の木曜劇場「silent」がぶっちぎりで話題だった。SNSは毎回、番組関連ワードが世界トレンド入りを果たし、芸能界でも若槻千夏や岡村隆史など“silent好き”を公言する人が相次ぐなど、社会現象に近い状況の人気で、ドラマを毎週楽しみにしていた視聴者も多いだろう。12月22日に最終話が放送されたばかりだが、年末には関東ローカルで一挙放送中だ。「2周目ももれなく泣いている」という人も現れている「silent」。見た人の心に残ったものは何だったのか。(以下、ネタバレが含まれます)

想に“耳が聞こえない”という変化が訪れた


今作は「フジテレビヤングシナリオ大賞」受賞作家である生方美久の完全オリジナル作品。主人公・青羽紬(川口)が、本気で愛するも別れることになってしまった高校時代の恋人・佐倉想(目黒蓮)と8年の時を経て偶然、再会。そこに待ち受けていた現実と向き合いながらも寄り添い、乗り越えていこうとする姿を描く。

10月に始まったドラマを全11話見終わって、紬と想が手話を用いて伝えあっていたことは何だったのかとずっと考えている。お互いを好きだとか必要だとか、あなたの力になりたい、でもなれないのかなどといった葛藤は、どんなラブストーリーにもある。ただ「silent」で大きな軸となっていたのは、耳が聞こえなくなったという、想の中に起きた大きな変化にどう向き合うかという点だろう。

湊斗のセリフにドキッ「高校生の紬ちゃんで止まってる」

互いを思い合う恋人同士が“ずっと一緒にいたい”と思っていても、何かが変わってしまった…ということは、長く生きていれば病気以外にもさまざまな理由で訪れる。例えば、仕事と恋愛のバランスが保てなくなったり、他に好きな人ができてしまったり。結婚して永遠の愛を誓いあった者同士でも、何十年も一緒にいれば見た目が別人のように変わってしまうことや、相手に優しくできなくなってしまうといった心の変化も起きてくるだろう。

過ぎ去った時間を戻すことはできないのだから、変わってしまった自分や相手をどう受け入れていくかが、より良い人間関係をキープし続けるコツなのではないだろうか。

最終話で想の親友・湊斗(鈴鹿央士)は「想の見てる青羽って高校生の紬ちゃんで止まってんだよね」と言った。また、ろう者の奈々(夏帆)は「昔の似ている誰かじゃなくて、今のその子をちゃんと見たほうがいいよ」と手話を用いて想にハッキリ告げた。耳が聞こえないということを受け入れてないのは紬ではなく想本人だったということを周りから教えてもらう形となっていた。

関連番組