――久しぶりに大河ドラマの撮影に臨んだ感想をお聞かせください。
なかなかスケジュールが合わず29年ぶりとなってしまいました。大河ドラマは長期の撮影になるので、それなりの覚悟がなくてはできないと思っています。29年前は私も20代で、当時は時代劇を背負ってきたお歴々の方々の胸を借り、その方たちの演技を食い入るように見ながら緊張感を持って撮影に臨んだことを覚えています。
29年ぶりになると衣装一つとっても作品のオリジナリティを出すために工夫がなされていたり、ロケに行かなくても、スタジオでロケさながらの映像が撮影ができたりと技術の革新に驚きました。古沢さんが脚本、松本さんが主演ということもあり、非常にアットホームな現場になっているので、緊張感はないわけではないですが、ファミリードラマのような面白さがありました。
――今川義元を演じて刺激を受けたことはありますか?
「王道と覇道を説く」というのは物語にも家康にも非常に大きな影響を与えることとなり、素晴らしい理念だなと感じますし、徳川幕府になって数十年続くことの礎になるということはすごいことだと、誇りを持てる役だなと思って演じました。
――今川義元と共通点や共感したポイントなどがあれば教えてください。
今川義元は一種の信念を持ち、理念を持って治める政治に長けていると思います。そういう意味で、私もいろいろなことをやっているように見えるかもしれませんが、理想や確信を持って取り組んでいます。古きを守りながら、伝統にこそまた歴史にこそ発想の種があると思ってそこから学び、実践に活かして理想の形を作っていくことに関しては自分の置かれた境遇と重なる部分は大変多かったと思います。
――松本潤さんと撮影前にどのようなお話をされて撮影に臨みましたか?
いろいろ話し合ったわけではないですが、プロデューサーからもリクエストがある中で(家康を)導く役であると思っていました。松本さんは、明るくにこやかで演出家としての才能なども含めて尊敬できる方だなと思っていますし、演じる上で非常にやりやすかったです。