そんな宗近が大悟にあいさつをした時、「後で話があります」と耳打ち。境内の人気のない場所で会うと、「この村を去ったほうがええ。このままじゃあ、あなたも狩野さんの二の舞になります」と助言。そして、“供花村は排他的で独自のルールを外から来た者に強要する”と説明し、「正直、うんざりしてませんか?」と。大悟自身はうんざりしているはずだが、失語症の娘・ましろ(志水)が笑顔を取り戻し始めているので環境を変えたくないと答えると、「では、あなたは受け入れるのですね?」と、穏やかな口調、表情ながら威圧感のある言葉を投げ掛けた。
そこで宗近は、奉納祭はかつて人間を奉納していた祭りだったと明かす。“何百年も前の話ですけど”と前置きをして、口減らしのために子どもを殺していた、と。思わず大悟が「殺すだけですか?」と聞くと、「それはどういう意味ですか? 食べていた、とでも?」と、大悟の考えを見透かしたかのように返してきた。
「何かあれば相談に乗りますよ」と大悟に名刺を渡した宗近。後日、大悟は宗近に電話をかけ、“会って相談したい”と言って、村の人たちが“後藤家”を恐れている理由は何なのかを単刀直入に聞いた。かつて後藤家は村の大地主で、村の人間は後藤家の土地を借りていて、その頃から恐れていたことを知る。さらに、近年、村の人たちと後藤銀(倍賞美津子)の間にトラブルがあったことも知らされる。それは“後藤銀に子どもを殺された”という内容だった。後藤銀は供花村唯一の助産師だったということも宗近は明かすが、これによって点と点がつながってきた。
常に穏やかで人当たりも良く、他の村民にはない知的な雰囲気の宗近。供花村の人たちも彼には一目置いており、たぶん後藤家の人たちも宮司の孫、次期宮司ということで特別視しているはず。村の実情を明かしながらもやんわりと大悟に警告しているようにも見えるが、宗近は大悟にとって味方なのか敵なのか。いずれにしても、今後の展開に大きく関わっていることは間違いなさそうだ。
◆文=田中隆信
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