<大奥>冨永愛“吉宗”らに看取られた風間俊介“杉下”の最期が感動を呼ぶ

2023/03/20 20:17 配信

ドラマ レビュー

吉宗は自ら薬を飲ませて杉下を手厚く介抱


進吉(中島裕翔)が持ってきた薬が高価なものなのではと杉下が心配すると、そうやって薬も飲まないからこうなったのだろうと吉宗が諫める。煎じた薬が運ばれてきて杉下が吉宗から薬を受け取ろうとすると、吉宗は杉下には渡さずに、自ら杉下に薬を飲ませてやる。

その様子を進吉がほほ笑ましく見ていると、吉宗がなんじゃと尋ねる。そうやっているとまるで夫婦のようだと進吉は笑って答え、杉下は目を丸くして驚く。しかし、吉宗は当然のように「夫婦のようではない、夫婦じゃ」と言い切る。杉下は早くに亡くなった姫たちの父親代わりをしてくれた、姫たちの父親なら私には夫であろうと吉宗は語った。

杉下はそれを聞いて「おそろしい…」とぽつりと漏らし、吉宗が気を悪くすると、杉下は「口が滑りました。恐れ多い」と言い直し、3人で笑い合う。

その後、吉宗に呼ばれた藤波(片岡愛之助)が進吉と再会を果たし、さらに4人で高らかに笑い声を上げて、朗らかなひとときを過ごした。

朝もやがかかる大奥の廊下を走る家重。吉宗らが集まる杉下の床に家重が駆けつけると、杉下は床に臥したまま「うれしゅうございます、左様に急いて来てくださって」と弱々しく喜ぶ。「役立たずの種馬よと行き場なくこの大奥にたどり着き、某がかように人に囲まれ、誠運命とは生きてみるまで分からない」と杉下が言うと、吉宗は「これからも何が起きるか分からない。二人で楽しもうではないか」と励ます。杉下は「はい」と答えてうれしそうに笑うと事切れるのだった。

杉下の最期に集まった者がすすり泣き、見ている方も涙が止まらなくなった。振り返れば、この「大奥」シーズン1で吉宗と杉下が一番和やかで心温まる“夫婦”だったと言える。

◆構成・文=牧島史佳