長澤まさみ、難役の連続も「うれしい」自分なりの正義感で向き合う、俳優という仕事

撮影中は話さなかった松山ケンイチからの手紙に感動

長澤まさみ撮影=友野雄


――斯波の取り調べの場面には、観ていて圧倒されてしまうほどの緊迫感が漂っています。どのように集中力を高めていったんですか?

いや、難しいんですよ本当に!楽しくしゃべってる人が現場にいると、「混ざりたい~!」って思っちゃうんで(笑)。やっぱり好きな俳優さんやスタッフがいたら、「はっ!しゃべりたいな」とか思っちゃうじゃないですか。でも、そこはやっぱりみんな生活かかってますからね(笑)。「この作品よかったよ」って言ってもらえるのがうれしいから、スタッフもキャストもずっとこの仕事を続けてると思うんですよね。今回、カメラマンさんと照明さんが「コンフィデンスマンJP」のチームだったりして。そんな信頼しあってるスタッフががんばってるところを、自分がぶち壊しにできないですからね。だから自分に集中できるように、我慢して……いろんな方法を考えるんですよ。

――とにかく集中する、と。

でも、集中してるのに監督が話しかけてくるんですが、気にせず頑張ってやってました(笑)。監督は本当に陽気で優しい方なんです。昔ながらの映画人!って感じの人。みんなをあたたかく包み込んでくれる関西のおじさん、みたいな(笑)。

――松山さんとは撮影中にどんなことを話しましたか?

撮影現場では話してないんですよ、全然。

――そうだったのですね!

最終日に、松山さんから手紙をもらったんです。男性俳優から手紙をもらうのが初めてで、すごくうれしくって。私は現場に入ったらしゃべらないようにしようって決めてたので、しゃべってなかったんですね。そしたら松山さんもそう思っていらしたみたいで、それを手紙で初めて知って。手紙に「しゃべらないことを強要させちゃってごめんね」みたいな文章が書かれていて「あ、同じ思いだったんだ……」って、すっごいうれしくて。そんなふうに、作品に対して同じような気持ちで向き合えたことが、この作品で得た財産ですね。