女優の黒木華が4月29日、都内で行われた映画「せかいのおきく」公開記念舞台あいさつに共演の寛一郎、池松壮亮、眞木蔵人、阪本順治監督と共に出席。モノクロ映画で感じたことを明かした。
本作は、江戸末期を舞台に厳しい現実にくじけそうになりながらも、心を通わせることを諦めない若者たちの姿を描き出す恋と青春の物語。声を失い、手話のない時代に懸命に想いを伝えようとする主人公おきくを黒木が演じ、江戸の循環型社会を背景に描く本作の象徴「下肥買い」の若者二人を寛一郎と池松が演じる。
黒木は「完成するまでに本当に時間をかけた作品」と明かし「みなさんにどういうふうに見てもらったのかな?と、私自身もすごく楽しみに思っています」とニッコリ。本作はモノクロ映像で描いた作品ということで、感じたことを聞かれると黒木は「撮影しているときは私はあまり画面を見ないので、意識はあまりしていなかったです」と振り返りながら「完成した作品を見て、より色だったり音だったり、匂いだったりとかが立ってくる感じがしました」と語った。
モノクロ映画への出演が夢だったという池松は「モノクロ映画というと昔のものとされがちですけど、技法として世界ではずいぶん見直されているもの。技法としてのモノクロ映画にもっと日本もトライすべきなんじゃないかと思っていました」と思いを告白。続けて「なぜモノクロ映画にするかということが一番重要なことだと思うんですけど、こういう題材でモノクロ映画をやれたのはすごくうれしかったです」と喜びを口にした。寛一郎はモノクロ映画に関して「普段見ている僕らの景色から色という情報がなくなるので、その分感じ取れるものが多いこともありますよね」と語った。
最後に黒木は「本当にいろいろな方に見ていただける作品になったと思います」とアピール。「映画を愛している人たちが集まって、3年前から大事に大事に作った作品ですので、ぜひ多くの方に見ていただけたら」とほほ笑んだ。
◆取材・文=山田果奈映