――第20回では、瀬名と八蔵のシーンが複数描かれました。瀬名に対する八蔵の思いを、どのように捉えて演じられましたか。また、瀬名役・有村架純さんとのご共演はいかがでしたか?
身分や立場の上下が決して覆らない時代に分け隔てなく接してくれる瀬名さんの存在は違和感。ただ命の価値があまりにも低い戦乱の世を生きる者にとって、それが当たり前で何の疑いも持ち得ない八蔵たちが現状を打破するには力によるクーデターしかないと思い込んでいました。そんな中、山田八蔵はこれで良いのかと迷い続け、疑問を捨てられません。そして瀬名さんも同じ苦悩を生きられたのだと思います。同じ問いと真正面から向き合い続けてある決意に至った瀬名。「八蔵、頼みがある」と真っ直ぐこちらを見る瀬名には正直、恐さを感じました。誠実で真っ直ぐで腹が決まったその姿は強さそのもので、暴力よりも強力な力を感じました。何かを変える人は優しさと怖さを同時に持つ人なのかもしれません。
有村架純さんはとても不思議な方でした。ひょうひょうと淡々としているようで、一度動き出すと感覚の塊がそこにあるようでした。合間にお話させて頂いた際もとても面白くて忌憚(きたん)ない方で、接していてしみじみ好奇心が湧いてくるような。ある日、前室で待機している間、有村さんと古川琴音さんと3人で話していたのですが、ふと有村さんが居なくなって、不意に戻られた時に「これどうぞ」とデコポンを僕と古川さんに下さいました。それが本当に本当にうれしくて大袈裟でなく頬擦りしながら泣けてきました。
家に帰っても何度も手に取り惜しみながらも大切にそのデコポンを頂戴しました。甘さも酸味もギュッと詰まった最高に美味しいデコポンでした。劇中でも貝殻に詰まった軟膏、それを包んでいる手拭いを頂戴しました。身体が痺れるくらいうれしかったです。劇中に下さいました軟膏と手拭い、撮影の合間に頂いたデコポン、どちらも山田八蔵、米本学仁にとって格別なものとなりました。
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