実際の事件捜査の場で、風間に試され、精神と刑事の技術をたたきこまれた新人刑事たち。それぞれの資質で数多ある事件を解決に導いていってくれると思うと心強い。“法の番人”として社会を守る警察官の矜持が受け継がれていく。
だが、その中で悲劇が起きた。風間道場を卒業した直後の遠野が、風間と共に襲われ、後に命を落としてしまったのだ。風間も右目を刺され、義眼に。その被疑者は十崎(森山未來)。15年前に殺人事件を起こし、風間が逮捕した男だ。
第11話では、若い警察官二人が十崎を発見し職務質問をかけるも、立ち去ろうとする十崎にわざとぶつかり、公務執行妨害で強引に逮捕していた。
そのことで十崎の弁護士が公安委員会に抗議をし、遠野の事件の時に風間や目撃者も十崎の顔をはっきり見ていなかったことで犯行を断定できず、十崎は釈放されてしまった。
職務質問をまともにできない若い警察官に怒りを覚える風間。そして、この件がきっかけで一線を退き、警察学校の教官になった。
2作のSPドラマへとピシッとつながった展開。有能な刑事となるはずだった遠野を失った風間の悲しみは大きい。一方で、基本ができていない警察官がいることの絶望も。それがSPドラマで描かれた、冷酷無比な警察学校教官の風間が誕生したというわけだ。第11話で眞堂に「警察を恨むなよ」と風間に言ったが、SPドラマで風間が放った「警察を恨んでいる」が重く響いてくる。
SPドラマで冷酷無比な役どころを見事に演じ、新境地を切り開いた木村が、本連続ドラマでもさらに見せてくれた。風間の警察官としての矜持のすごみ。その裏で遠野を失った悲しみに涙を流すシーン(第10話)は大きな反響に。そのシーンはドラマのオリジナル展開だったが、風間という人間の深いところを見せた。
十崎の謎はまだ残るが、“刑事指導官”としての風間と、5人の新人刑事たちの足跡をたどる特別編が6月26日(月)に2時間(夜8:00-9:48)で放送される。今一度その世界に浸れる時間を楽しみに待ちたい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
※濱田崇裕の濱は旧字体が正式表記
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)