――家康を支える上での於愛の方の気持ちをどのように捉えて演じましたか?
於愛がいることで、殿が“徳川家康”というよろいを脱いで、一人の人間として心地良くそばにいられる、そういうキャラクターになればいいなと思って演じていました。そして、第36回で、いつも朗らかな於愛が今まで見せたことのない表情を見せ、秘めてきた過去が明らかになることで、その緩急が見ている方たちに刺さればうれしいなと思います。
――正室である瀬名が亡くなった後、側室として殿を支える立場となりますが。
そうですね。於愛にとっても殿は本当にお慕いしている人ではないというエピソードも描かれましたが、そんな葛藤を抱えながらもそれを一切見せないというのが、彼女の強さだと感じました。
――ご自身と於愛の方を比べて、似ている部分はありますか?
私はあまり意識してないのですが、周りの方々から似ているとよく言っていただいていました。私自身おっちょこちょいなところが多く、初登場のシーンで於愛が万千代(井伊直政/板垣李光人)と勘違いして殿のお尻を叩いてしまうというミスをするなど、突拍子もないことをする部分は演じていて楽しかったですし、共感できました。
――演じていて於愛の方から学びたいと思う部分はありましたか?
懐の深さです。何があっても殿の絶対的な味方でいて、心身ともに支えになっているなと感じましたし、殿の頭の中を一番理解しているのも、それを明るくプラスな言葉や思考に変えてくれたのも於愛なのだろうと思います。
――今回の於愛の方という役を演じたことは、ご自身にとってどのような経験になりましたか?
私は10カ月くらいお仕事を離れていて、復帰作がこの大河ドラマだったので、この作品からまた始めることができて本当によかったなと思いました。時代劇はあまり経験がなかったので、所作や笛の稽古など一から役を作っていく経験をして、改めてお芝居と向き合うことができました。20代後半になると、なかなか新しく学ぶ機会も少なくなると思いますので自分の中で大きな経験になりました。