三谷幸喜の最新作「スオミの話をしよう」制作報告会が12月13日に都内で行われ、本作の脚本・監督を務める三谷が登壇した。
2019年公開の「記憶にございません!」以来、約5年ぶりとなる三谷9作目の映画「スオミの話をしよう」は、主演を長澤まさみが務め、2024年9月13日(金)に公開を予定している。
突然行方をくらませた大富豪の妻・スオミ(長澤)。スオミの失踪を知り、夫が住む豪邸に集結したのは、彼女が愛した5人の男たち。彼らが語るスオミのイメージはそれぞれ、見た目も性格も異なるものだった。一体、スオミの正体とは? ひとつの屋敷を舞台に、三谷の真骨頂とも言えるサスペンス・コメディーが展開する。
制作報告会に登壇した三谷は「この映画には5つの顔があります」と前置きをして語り始めた。まず1つ目の顔が「ミステリー」、2つ目が「コメディー」、3つ目は「恋愛映画」。
4つ目は「長澤まさみ作品」。「これが一番大事な顔で、記事にしていただくときは一番大きな活字にしてください。長澤まさみさんが大好きで、おそらく日本の映画界で最も力があって輝いている女優さんだと思います。そんな長澤まさみさんの、今現在の一番すてきな部分、彼女のコメディエンヌとしての輝きを含めて、今現在の長澤まさみさんの魅力をスクリーンに収めたかったんです」と、この”顔”が最重要だと強く主張した。
そして「これは小さくて構わないんです」と言って、5つ目の顔として「三谷幸喜作品」であることを加えた。
長澤の魅力について聞かれると、「皆さんもご存知だと思うんですが、結構はっちゃけたイメージもありながら繊細なお芝居をされる方でもあります。ご本人がすごく真面目な方だというのもあって、その役をすごく掘り下げていく。せりふの一つ一つを自分の納得のいくまで繰り返しますし、僕が『これでOK』だと思った時でも、長澤さんから『もう一回お願いします』と言われたこともあります。それくらい役に対する意気込みを形として残る方なので、演技上手な方だと思っています」と評した。
今回の作品においても「難しい役だと思うんですけど、5人の男たちが思い出すそれぞれのパートナーとしてのスオミは全部ちょっとずつ違っているんです。複雑な役をきちんと僕の思っていた以上に演じてくださいました。こういう長澤さんをみんなに見て欲しかったんです」と語り、「エンターテイナー的な一面も持ってらっしゃるので、ちょっとだけ歌うシーンもあります。踊りもありますし、アクションもあります。長澤まさみの全てがこの中にあると言っても過言ではないと思います」と力強く言い切った。
スオミの5人の夫を演じる俳優に関しては「まだ言えないんですが、僕の作品に今まで出てこなかった俳優さんに出てもらってます」と言って、「佐藤浩市は出てないです。中井貴一も出てないです。西田敏行さんも出てないです」と出演していない俳優の名前を明かした。
「スオミの話をしよう」は完全オリジナル作品で、長澤を”当て書き”で書いたという。「まだ編集途中なんですが、面白い作品になっています。今までの作品と同じようにカンヌやベネツィアには全く縁のない作品ではありますけれど、必ず楽しんでいただける作品になっていると思います。原作もないし、アニメでもないし、テレビドラマが元になった作品でもない。完全オリジナル作品。そういうのはあまりないんですが、その中の1本として来年の日本映画にちょっとでも貢献できればいいなと思っています」と、本作に込めた思いを伝えた。
映画「スオミの話をしよう」は、2024年9月13日(金)公開。
◆取材・文=田中隆信