浜辺美波から感じる、“昭和の本格俳優”を思わせる肝っ玉の大きさ【てれびのスキマ】

2023/12/20 07:00 配信

芸能一般 コラム

浜辺美波※2023年ザテレビジョン撮影

“みーちゃん”から“浜辺”に


ちなみに世に出たのは「らんまん」のほうが先だが、撮影は「ゴジラ-1.0」が先。「ちょうどゴジラの撮影をしている前後ぐらいに朝ドラの話があった。『これから長い間、ご一緒させていただきますね』と(撮影の)最後にごあいさつして、ここまで仲良くしていただいています」(「ORICON NEWS」2023年9月4日)と浜辺自身が補足した。

神木とは4年前の「屍人荘の殺人」(2019年)にもコンビを組んでおり3度目。まさに名コンビだ。この撮影は特に過酷だったそうで、その経験があるからこそ、「らんまん」の撮影時には「元から信頼度があった」という。ちなみに神木は彼女を「浜辺」と呼ぶ。最初は「みーちゃん」だったが次第に「浜辺」率が高くなったという。同士感があってとてもいい。

可憐なヒロインから強烈なキャラクターまで七変化


浜辺は、2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞を受賞し、芸能界入り。同年公開の映画「アリと恋文」で主演デビューを果たす。2015年にはアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(フジテレビ系)の実写ドラマでヒロイン・めんまを演じ注目を浴びた。

その後も可憐なヒロインというイメージが先行していたが、2018~19年の「賭ケグルイ」(MBS)ではエキセントリックな主人公・蛇喰夢子を熱演し強烈なインパクトを残した。「現場ではモニター前に行かないようにしていました。自分が思っていた以上にひどい顔をしているのを見ちゃうと、その先の撮影で表情を押さえ込んじゃって精一杯できないなあと思ったので」(「映画ナタリー」2018年1月8日)と言うほど振り切った演技をしていた。

らんまん」での寿恵子が代表的だが、浜辺が演じるヒロインは可憐さはもちろん、同時に強さを感じる。神木は浜辺を「一筋縄じゃいかない、とても芯の強い、とがった役者」と評す。だからこそ、寿恵子の強さを表現でき「逆境にあっても『どうしよう?』じゃなくて、『おぅ!やってやるよ!』っていうような挑戦的な目つきができる」(「あさイチ」2023年8月25日NHK総合)と。前述の通り、「山口百恵三浦友和コンビ」に喩えられたが、彼女は“昭和の本格俳優”を思わせる肝っ玉の大きさがある。

文=てれびのスキマ
1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」

※『月刊ザテレビジョン』2023年1月号