'17年春クールにかけて放送されたドラマを対象に開催した「週刊ザテレビジョン 第93回ドラマアカデミー賞」の受賞作が決定。
主演女優賞には、「あなたのことはそれほど」(TBS系)で不倫妻を演じ、清純なイメージを打ち破った波瑠が1位に輝いた。得票結果は、本誌TV記者票と審査員票で共に1位を獲得。'15年に放送された連続テレビ小説「あさが来た」(NHK総合ほか)以来、2度目の主演女優賞となった。
そんな平気な顔で不倫をしてしまう女性の怖さを見事に表現した波瑠に、作品の感想を聞いた。
――ドラマアカデミー賞・主演女優賞受賞おめでとうございます。感想を聞かせてください
ありがとうございます。正直、受賞できてびっくりしました。不倫をしてしまう美都役は、多くの人に好かれるようなキャラクターではなかったので、主演女優賞に選んでもらえたのはうれしいです。
――波瑠さんが不倫する役を演じるのはイメージ的に意外だったという意見もありましたが、終わってみていかがでしたか?
そもそも美都は私自身とは全然違うし、共感できるところはあまりなく、考えていることもあまり理解できませんでした。でも、そういう人物として見せるために、私なら絶対にしないような仕草をしたりするのが、楽しかったんですよね。だから、演じるのが嫌になったということは一度もありませんでした。一番イヤだったのは「なぜこの役をやったの?」と言われることでした。だって私は、「この人って本当は良い人なんだろうなぁ」と思われるために、演技の仕事をやっているわけではないので。演じる人間としては、何が自分にとって糧になるか、自分をより豊かにするかということは分からないですし、そういう意味ではすごく価値のある役柄でありチャレンジでした。
――ドラマの放送が終わった今、改めて考えると美都はどんな女性だと思いますか?
美都のやったことは、結果的に人を傷つけてしまったけれど、実は悪意はないんですね。他人をおとしめようとか誰かを傷つけようとか自分を正当化しようという気持ちはない。「だって、ダンナがこうだから、不倫したってしょうがないでしょ」という言い訳もしない。すごく強くてまっすぐな女性だったなと思います。世間的にはズレているけれど、自分の気持ちに正直で、それを貫き通せる強い女性でした。私のように普通に生きている人間から見て、ある意味うらやましく思える部分はありました。
――確かに、美都はあっさりというか、不倫相手の有島(鈴木伸之)が別れると言ったら身を引くようなサバサバしたところはありました
そうなんです。美都は自分の選択が間違っていたと納得できれば、それは受け入れられる。びっくりするぐらい潔い女性ですよね。でも、気づくまではそれが正しいと思っていたので、突き進んで行けたのだと思います。
――最終回の後、美都はどうなると思いますか?
たぶん大きくは変わらないと思います。有島との不倫で、美都は反省したと思うし、いけないことをしたという意識はあるけれど、人間って心を入れ替えて生きていくことのほうが少ないじゃないですか。同じことを繰り返さないまでも、それなりに痛い目を見ながら、でも自分に正直に生きていくんだろうなと思います。
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