佐藤健が、3月7日に開催された主演映画「四月になれば彼女は」の完成披露試写会に登場。共演の長澤まさみ、森七菜、ともさかりえ、メガホンをとった山田智和監督と舞台あいさつを行い、完成を迎えた感想などを語った。
同作は映画プロデューサー、小説家、脚本家、映画監督と幅広く活躍するヒットメーカー・川村元気氏の同名ベストセラー小説を、米津玄師の「Lemon」などミュージックビデオを多数演出してきた山田監督が実写映画化。精神科医の藤代俊(佐藤)のもとに、かつての恋人・伊予田春(森)から手紙が届いたのと同時期に、藤代の婚約者・坂本弥生(長澤)が突然姿を消す。春からの手紙と弥生の失踪、2つの謎はやがてつながっていき、現在と過去、日本と海外が交錯しながら、愛する人を探し求める“四月”が始まる――という心に刺さるラブストーリーだ。
10年にわたる愛と別れを壮大なスケールで描いた今作が完成を迎えた感想を「非常に感慨深いですね」と語る佐藤。もともと原作小説を読んでいて、映画化を熱望していたそうで「登場人物たちが、例えば『永遠の愛なんてないんだぞ』とか『優しさは自分が気に入られたいだけなんだぞ』という、ちょっと皮肉めいているけど真実だろうというセリフを言っていて。僕はそれが大好きで、そこに引かれて。というか、川村元気が書いているんだから、どうせ映画化するんでしょ?と。だったら(藤代を)自分がやりたいなと」と、「世界から猫が消えたなら」などでタッグを組んでおり、日本を代表する映画プロデューサー・川村氏の原作ということで実写化は規定路線だと考えていたそう。
さらに佐藤は「本当かどうか分からないですけど、(川村氏が)『健で当て書きした』みたいなことを言っていました」と旧知の仲である川村氏が、佐藤を藤代のモデルとして“当て書き”したらしい、ということを照れくさそうに打ち明けた。
佐藤演じる藤代の恋人役で出演する長澤は、現場での佐藤について「すごく信頼の置ける方なので、佐藤さんは…。楽しかったよね」と若干ニヤニヤしながら話すと、佐藤は表情が気になったようで「それをビシッと真面目に言えばいいのに、何をふざけて…(笑)」と苦笑い。
それを受け、長澤は気を取り直して「恋人の役なんですけど、お会いするのは久しぶりだったので、役として向き合えるように仲良くなりたいなと思いながら現場に入りました。雑談をしながら何となく空気感も藤代と弥生に近づくように歩み寄っていた記憶があります」と撮影を振り返った。
そんな長澤が演じる弥生について、山田監督が「映画化するにおいて、弥生は原作者の川村さんと一緒に新しく映画のために書き下ろした要素が一番多かったキャラクターなんです。長澤さんが現場に入ってきた初日、一歩目から『弥生がきた』って思えたことの信頼感というか、安心感というか。そういうものが最初からあって、それが最後まで続いた。長澤さんは“座長”気質というか、僕ら同世代なんですけどみんなを引っ張ってくれる。現場全体の空気を作ってくれる女優さんだなと思いました」と評すると、佐藤も頷きながら「完全に長澤さんが現場の空気を作ってくれていましたね。“番長”のようにみんなを引っ張ってくれていました」と独特の表現で絶賛。
“番長”という強めのワードに、長澤も「ちょっと弥生のイメージがかけ離れちゃうけど大丈夫ですか…?(笑)」と困惑しつつ、主演俳優と監督から贈られた褒め言葉をかみ締めていた。
映画「四月になれば彼女は」は、3月22日(金)に全国公開。
◆取材・文・撮影=月島勝利(STABLENT LLC)