――小日向さんは今日の収録の中で、監督とディスカッションをされていたとお聞きしました。
小日向:監督と自分の思ったことを擦り合わせていく中で、監督が満足するものになるまで妥協してもらいたくないなと思ったんです。僕としては監督が納得できるまではいくらでもリテイクしようと思っていたし、監督が僕に気を使って「何度も同じ部分をやってもらうのは大変だし悪いな」とか思われるのも嫌だったので。そういう意味で、「もっとここはこうした方がいいですか?」とか、もし監督が遠慮しているのであればと思っていろいろと提案してみました。
村上:でも、あの空気感は緊張しますよね(笑)。
――収録をご覧になっていてそう感じられましたか?
村上:いや、見ていてではなく僕が収録ブースに入っているときですね。こちらからは自分が今演技したものに対して、それが良かったとしても良くなかったとしても監督たちが何を話しているか聞こえないんです。
小日向:そうそう! あれって絵に合わせて聞いてるんでしょ? 僕らにはその様子が聞こえないんだよね。本当は聞かせてもらいたいなとも思いつつ(笑)。
村上:結構爆笑したりもしていて、気になりますね(笑)。
――そうなんですね! 確かにドラマの現場ではそれは中々無いですよね。
村上:モニターの位置が相当遠かったり、スタジオでサブモニターがあったりしたらそういったこともあるかもしれないですけど。
小日向:そうだよね。僕らもテストや本番のテイクを見れるもんね。
村上:それにドラマなどの現場だと目の前に技術の方やスタッフの方がいるので、演技への「今のは良かったな」とかの反応がある程度は見れる。それがアフレコだと自分の感覚しか分からないので、「今の良かったの?」みたいに不安になってしまいますね(笑)。
小日向:収録で言えば、今日の1話では犬屋敷の気弱な感じと、自分が機械の体に変わったことに気が付くところでの演技の揺れ幅が大きかったので、台本を読んだ時から結構大変だなとは思っていたんです。でも、とりあえず何とか乗り越えたので、ここからは少し楽になるかなと(笑)。
村上:むしろここからハードルが上がっていくんじゃないですか?(笑)
小日向:でも、意外と犬屋敷さんはあまりしゃべらないんだよね。
村上:せりふ量としてはそうなんですかね。確かに原作を読んだ時、奥さんにがんのことを打ち明けようとする犬屋敷さんは「あ、あ」としか言ってなくて、映像になったところが想像できなかったんです。でも、今日小日向さんの演技を聞いてとてもしっくりきました。
――オンエアではそのシーンに注目したいと思います! では最後に、視聴者の方へのメッセージをお願いできますか?
小日向:やっぱりこの原作が非常に面白いので、その面白さを我々が声優をやることで落としたくないですね。僕らがこの作品を最初に読んで「面白い!」と思ったものと、少なくとも同じ感動を視聴者の方に伝えられたらと思います。本当は、声が入ることによってプラスアルファできれば最高なので、そこを目指して頑張りたいですね。
村上:俳優が集まってテレビアニメを作るという贅沢(ぜいたく)な取り組みですし、僕にとってはこうして声優をやらせていただくことが贅沢だと感じています。原作で描かれている世界観を邪魔せず、さらにその上を行きつつ彩りを加えていきたいです。ぜひ楽しみにしてください。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)