――新田真剣佑さんが演じる次男・龍との親子対立が大きな見どころですが、田中さんから見た龍はどういう人物ですか?
社会に対する正義感とか、個人としての正義感、生きるための正義、そういうものを持ち合わせていて、いいですよね。新田さんにもぴったりな役だと思います。
――龍は海外で生活していて帰国してきますが、新田さんも海外を拠点に活動されているので、そういう意味でもぴったりな感じがします。
新田さんは俳優をすると決める前は流浪の旅をしていたみたいですからね。グローバルな視点で物事を見ていると思いますし、懐の深い青年だと感じましたよ。
――田中さんも海外での活動も多いので、新田さんと共通する部分も。
そうですね。外から日本を見るというか、そういう体験を長い間してきましたので、似ている部分があると思います。
――このドラマの演出は、森義隆さん、石井裕也さん、松本優作さんが担当されています。
テレビドラマって、演出・監督を1人でやることは少なくて、何人かでやることが普通なんですけど、見習いみたいな人も混じっていたりするので1人でやったほうが良くなるんじゃないかなと思うこともあります。でも、この作品に関しては3人とも自立している監督で、話題となる作品も手掛けられていて、それぞれ強い個性を持っています。
最初は「え? この3人がやるの?」と驚きました。しかも、第1話はこの人、第2話はこの人というふうな分け方じゃなくて、シーンごとに担当が違ったりするんです。その担当の振り分けは面白いと思いましたし、それぞれ個性がありながらも、3人でよく相談されていて、ギャップのないように仕上げていました。演出も意識して見てもらえると面白いかもしれません。年齢層の違うそれぞれ本当に素晴らしい三人の監督に会えたことも僕にとっては幸運でした。
――そして、この作品は日本だけでなく海外にも配信されるので、いろんな国や地域の方が見るわけですが、いろんな反響がありそうですね。
日本が舞台の作品ですが、海外の方が見たらどう映るのか興味があります。この脚本はエグゼクティブ・プロデューサーのデビッド・シンさんが書いているけど、まるで日本人が書いたんじゃないかと思うくらい、日本のことをすごく理解して書かれています。彼はすごく日本が好きなんです。映画「PERFECT DAYS」のヴィム・ヴェンダース監督も、現代の日本人が感じなくなってしまっている様なこと、気付いていない様なことも描写されていました。
この作品も、デビッドさんが外から日本を見て書いている感じもあると思うので、ドラマを見る人も気付かされることが多いんじゃないかと思います。最初に第5話まで配信されますが、ぜひ続けて見ていって最終話までたどり着いてほしいなと思いますね。
◆取材・文=田中隆信
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