本人はもちろん、森(山谷花純)や成増(野呂佳代)ら、これまでミヤビを支えてきた医局のメンバーもうれしくてたまらない。しかし唯一、三瓶だけは記憶障がいの改善の仕方に違和感を覚え、表情が晴れない。
ミヤビは抗てんかん薬を増やしたために記憶錯誤の症状が現れるようになり、患者を取り違えるなど業務に支障をきたす。
星前は三瓶に「ミヤビちゃんの薬の量だけど、元の量に戻さなくていいのかな?」と尋ねる。「薬の量を戻したら、また記憶が戻らなくなります」と三瓶が言うと、「そうだけどさ、ほら、またミスしたら自信もなくなっちゃうしさ」と言いにくいことを言う星前。三瓶が「ま、今はあくまで回復過程ですから」と言うと、星前は三瓶を見つめながら「本当にそう思う?」と聞く。
三瓶はしばらく押し黙って考えたのち、「記憶は仕事のためだけにあるわけじゃありません」と話すと、星前は「そうだね」とうなずいて、お邪魔しましたと言って去っていく。三瓶は口もとに手をやって考え込むのだった。
ミヤビのことを思う三瓶の気持ちが伝わってきて胸が痛んだ。
◆構成・文=入江奈々
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