第1シリーズの第2話は、三谷幸喜が田村さんに古畑役をオファーする際、初めて見せたシナリオだという。田村さんは「台本を読んだとたん、これはと思いました。まずなぞ解きが面白い。構成が綿密で余分なものがないから、ぐーっと引きつけられるんです。普通の刑事ものだったら出てませんよ」(『読売新聞』1994年4月15日付け記事)と当時を語っている。
古畑の巧妙な推理と右近と大人同士のコミカルなやりとりが、絶妙なバランスで盛り込まれる第2話。右近が舞台裏から舞台上に遺体を運ぶのに、“すっぽん”と呼ばれる新しい舞台装置を使うのが殺人事件のカギとなる。人のいない閉演後の舞台は真っ暗だから警備員は懐中電灯を持っているはずであることや、普段“すっぽん”に乗る側の役者が装置の動かし方を把握しきれていないために犯人が詰めの甘さを見せてしまうなどの細かい描写は、演劇人の三谷ならではの視点が光る。
古畑が犯人を追い込んでいくさまが実に面白い。冷静だった右近が、古畑のねちっこい捜査でみるみる余裕を失っていき「あの野郎…!」と苦虫を嚙み潰したような顔をするシーンは必見だ。
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