杉咲花、若葉竜也との第9話ラストシーンに「いつまでもああしていたい14分でした」<アンメット>

2024/06/17 08:00 配信

ドラマ

――杉咲さんのアイデア、ご提案で実現したシーンや撮影方法などもあったと聞いています。(第2話のサッカー少年とミヤビが向き合う、高架下でサッカーボールを蹴り合う長回しのシーンなど)具体的にどういったシーンだったか、その時のお考えなどお聞かせいただけますか?

高架下のシーンでは、亮介が自分の状態や気持ちをとても繊細に実感する重要なシーンでした。ゲスト出演というただでさえ緊張する環境のなかで、そこにいる人たちを信じて心を裸にしていく時間はとてつもないプレッシャーに襲われるはずで。少しでもフラットにその瞬間を生きられるために、Yuki(Saito)監督とアイデアを出し合って、30分間の長回しをすることが決まりました。

第2話に限らずですが、1つのシーンにおいて1台のカメラでさまざまなアングルから撮影を重ねていくなかで、どのような撮り順で進めていくかについてはかなり話し合いをしました。自分が経験してきた現場は、どんなシーンであっても一発目は主人公から撮っていくことが多かったんです。だけど、主人公だけが輝いていても良い作品にはならないと思っていて。だからこそ、そのシーンにおいて何が一番重要で誰を輝かせたいのかを密に考えながら、鮮度のある表情を大切に納めていくことについて、監督や米田(孝)プロデューサー、若葉さんと徹底的に話し合いを重ねました。

――また、脚本作りにも参加されたとのことですが、どのように打ち合わせを重ねられ、どのように杉咲さんの思いが反映されていますでしょうか。

打ち合わせは主に米田プロデューサー、Yuki監督、若葉さんの4人で行うことが多かったのですが、特にそれぞれの役のせりふにおいて適正な言葉を精査すること、伝えたいことを言語だけに頼らず表現する方法を探すことに注力していきました。

例えばたった一言のせりふや語尾、“てにをは”についての精査に1時間以上かかることも日常的で、決定的な情報を敢えてせりふにしないことに関しては緊張が走る瞬間もありました。ですが説明しすぎないということは、受け手を信じるということで。作劇上の都合で出口を誘導するのではなく、それぞれの役がひとりの人間として気持ちの筋を通すことを最優先するため、さまざまな視点からの擦り合わせを心がけていました。

――SNS上で、ミヤビがそこに生きているかのような、杉咲さんのナチュラルな演技に反響が大きく、また食事のシーンが印象的と話題です。ご本人としては、意外な反響に驚いたこと、反応・反響をみて思っていたことなどありましたらお聞かせください。

やはりみんなで時間をかけて話し合ってきたことについて、視聴者の方々がしっかりキャッチしてくださっていることがすごくうれしくて。意図していなかったところでも、その人だけの感性で受け止めて、その人だけの物語が育まれていっていることが最高にうれしいです。

――撮影現場での思い出深いエピソードお教えください。

みんなで集まってオンエアを見届けたり、スタジオの前室でお米を炊いて食卓を囲むような時間を過ごしたり、キャリアや部署を問わず、くだらない話でゲラゲラと笑っていたり。時にはすれ違いが起きて、気まずい空気が流れた場面もありました(笑)。だけどそれは、真剣だったから。 毎日を一緒に過ごしていると、いろんないろんなことが起きるけど、喜びも涙も、好きなお菓子もみんなで半分こすることができたすべての瞬間が宝物です。

――杉咲さんは撮影が始まる前、全スタッフの顔と名前を覚えられるようスタッフ一覧を作られたり、現場にパーカーをプレゼントして一人一人の名前を直筆で添えたりなど「アンメット」に関わる方々に深い愛情と熱意をかけられているのが伺えます。座長としての思い、お考えをお教えください。

感謝とか愛情は、言葉や態度でなるべく伝えていきたくて。

軽やかに伝えることって難しいし、自分にできることも少ないですが、作品に関わるひとりひとりが大切で、誰もが欠けてはいけない存在であることをみんなで共有できたら、現場が“行かなきゃいけない場所”じゃなくて、“明日も行きたい場所”になるんじゃないかなって。またみんなに会いたいです。

――第10話や今後の展開のみどころ、視聴者にメッセージをお願いします!

「アンメット」が大好きでたまらないみんなと力の限りを尽くした自信作です。是非お家のテレビで観てください。