<古畑任三郎>が鹿賀丈史“中川”の職業を見抜いた酢豚弁当…「殺人特急」レビュー

2024/07/02 18:30 配信

ドラマ レビュー

警部補・古畑任三郎(第1シリーズ)(C)フジテレビ/共同テレビ

食べ終わった駅弁の結び目を見てピンと来た古畑


この回の古畑は、特急車内に偶然居合わせた警部補というシチュエーションのため、次の駅までに犯人特定を急ぐスピーディーさも求められ、普段以上に真剣な表情や焦る様子などが渋く、カッコいい。車掌に「何かあったの? 警察の者だ」と話しかけ、死体を発見した場面から、“車内で食べるみかんは手に匂いが残ること”や、“リクライニングシートを後ろに下げる際にコワい反社会的男性が座っていて遠慮せざるを得ない”、“駅弁”など“電車あるある”をたくさん使ったトリックの数々が楽しめる。

細かい内容すべては書き記せないが“駅弁”だけ解説しよう。

古畑の好物は酢豚である。それは車内の売店で「ないなぁ! 酢豚弁当が欲しいんだけどなぁ」「酢豚どれ? 君たち知らないの? 有名な酢豚弁当」と珍しく店員に声を荒げる古畑の姿を見ても明確だ。酢豚に対する熱い思いは他の回でも時折語られるほどである。今回中川を「お医者様でいらっしゃいますよね?」と職業を見抜いて追い込んでいったのは、中川が食べ終わったスタミナ酢豚弁当の包みに古畑が着目したことからだった。「一番上の兄が京大付属病院で医者をやってまして」と外科医特有のヒモの結び方を指摘。「医師ならば3分間で(殺したい相手を)クロロホルムで眠らせて、くるぶしに注射をして、コートを脱がせることが可能ですか?」と殺害行為の実証を試す実験に中川を参加させたのだ。

古畑は女性の犯人には終始紳士的な捜査をするが、男性には手厳しく容赦しないところがある。第8話は切れ味鋭い古畑の推理を堪能できることだろう。