<HERO>堅物な松たか子“雨宮”が不倫中の女性に教えた「一番不幸な女」とは

2024/07/25 11:30 配信

ドラマ レビュー

HERO(2001)(C)フジテレビ

一番不幸なのは「忘れられた女」


異性に本気の恋をしたことがない雨宮は「不倫なんて許せません」と思っており、もちろん皆の前で言った不倫宣言は出まかせのウソ。久利生から「彼氏ってどんな人?」と聞かれると、目の前に置かれた観光地のパンフレットに写る男性の容姿を適当に答えて「顔が下駄みたいに四角い漁師」と答えるなど、恋に不器用すぎる一面が見え隠れしてしまう。

しかし、朝美のように報われない泥沼不倫にハマってしまった女性には、雨宮のようなまっすぐさがもう自分にはないと響いたのだろう。矢口にまだ未練がある朝美が、久利生になぜ彼をおとしめようとしたかと尋ねられると「一番不幸な女なのは忘れられた女だと思う。自分を刑務所に入れた女のことは一生忘れないと思う」と供述し、静かなる女の念は恐ろしいものがあった。

一方、第6話「彼女の一番大切なモノ」は、雨宮が異性に恋したい気持ちを高ぶっていることが分かるキーアイテムが登場する。久利生が通販にハマっているのを小馬鹿にしていた雨宮が、ある通販商品を誰にも分からないように秘密で購入。ところがそれを落としてしまったクラブが賭博容疑で摘発されてしまい、雨宮の眠れぬ1日が始まる。通販で買った商品は何なのか。

検事であれど、ひとりの人間。「HERO」は個性の強い久利生はもちろんのこと、仕事仲間である検事や事務官にもそれぞれ色濃い人生があって、登場人物たちに同情したり笑っているうちに物語が進んでいくという楽しさがある作品だ。