「おこがましい」
杏は自身を振り返ってそう言う(「ANOTHER SKY」2024年6月8日日本テレビ系)。彼女が表舞台にデビューするきっかけとなったモデルの仕事も、俳優の仕事も、周囲の人たちから勧められるまま主体性なく始めたものだった。だから「本当に自分から手を伸ばしてなさすぎて」おこがましいと言うのだ。
2007年に「黒澤明ドラマスペシャル」と銘打たれた「天国と地獄」(テレビ朝日系)で女性刑事を演じ、役者デビューを果たすと、2009年には「天地人」(NHK総合ほか)で大河ドラマ初出演。ほぼ途切れることなくドラマ出演を続け、2011年には「名前をなくした女神」(フジテレビ系)で連ドラ初主演を果たした。
2013〜2014年の朝ドラ「ごちそうさん」(NHK総合ほか)では、オーディションなしでヒロインに抜擢され、押しも押されもせぬ国民的女優のひとりとなった。中でも印象深いのは2015年の古沢良太脚本の“月9”「デート~恋とはどんなものかしら~」(フジテレビ系)。長谷川博己とエキセントリックなカップルを演じ話題となった。
私生活では、歴史本好きで史跡巡りが趣味の「歴女」としても広く知られ、2009年に「歴女」がユーキャン新語・流行語大賞のトップ10入りを果たすとその受賞者になるほど。ファンを公言していた「タイムスクープハンター」(NHK総合)にも2011年に始まったシーズン3からレギュラー出演を果たした。
この「歴女」が象徴するように基本的に杏はいわゆる“オタク気質”。自分が好きなものを突き詰め、「これが好きなんです!」と言いたい願望があるという(「ORICON NEWS」2022年1月19日)。いまや登録者数120万人超えとなった杏のYouTubeチャンネル「杏/anne TOKYO」も、もともとのきっかけは、コロナの自粛期間中、その気質から自分の好きな曲を歌ってSNSに投稿したところ「もっと歌って」という声をもらって2021年に開設したものだった。