杏の好奇心は、役者としての表現の広がりにつながる【てれびのスキマ】

2024/09/02 07:00 配信

芸能一般 コラム

※2021年ザテレビジョン撮影

もはや主体性のない“おこがましさ”とは無縁


さらに、大人の習い事が充実しているというフランスで、デッサンの教室に通い、スペインでジグソーパズルの世界大会が開かれていると聞けば、自ら応募し出場した。また、フランスでは路上ミュージシャンのように地下鉄の構内で演奏するためにはパリ交通公団(RATP)から認定を受けなければならないが、はそのオーディションを受け「メトロミュージシャン」として歌ったりもしているのだ。

 役を演じることについては「自分の体を通して演じてはいますけれど、役に対しては自分と似ているかどうかよりは『友人が増える』という感覚」(「Precious.jp」2024年5月31日)と語っている。パリとの2拠点生活を始めると「自分が2人に増えたような気がする」(「ANOTHER SKY」前出)と表現している。もはや主体性のない“おこがましさ”とは無縁だ。

「自分でも以前は想像できなかったところまで思いが広がるようになりました。悲しみや苦しさも含めて動かされる感情の幅が、20代の頃と比べるとずっと大きくなったなと」(「Precious.jp」前出)

の好奇心の広がりは、そのまま役者としての表現の広がりにつながっているに違いない。

文=てれびのスキマ
1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」

※『月刊ザテレビジョン』2024年10月号