成田凌“冴木”の切なる叫びが胸に響く、吉川愛“花音”とのラストシーンも余韻を深める<降り積もれ孤独な死よ 最終回>

2024/09/09 11:59 配信

ドラマ レビュー

冴木の切なる叫び


マヤの転落死と優磨の事故は、健流が死んだと信じたくない陽子が迫ったことに起因していた。灰川邸に陽子を呼び出した花音は、自分の命で償おうとする。

そこに冴木が現われ、同時に逮捕されていた涼(笠松将)も警官の拳銃を奪ってやって来た。涼が放った銃弾に倒れる冴木。息も絶え絶えに伝えたのは「暴力の連鎖を止めるには、暴力で解決することでも、死ぬことでもないだろ。それにつながってきたのは、暴力だけじゃない。誰かが誰かを守りたいという思いも、ずっとつながってはずでしょう」ということだった。花音には在りし日の灰川が言った「いつかお前たちが誰かを守れ」という言葉が蘇っていた。

灰川はもちろん、花音を守る思いから過激な行動もいとわなかった涼、そして父親からの被虐待児であり自身の中にある暴力性に悩んだ冴木と亡き蒼佑も互いを守りたいという思いが芽生えたのは事実だ。続いた「守るためには生きないと」という冴木の言葉は、10話通してたどり着いた深い、深いメッセージだ。また、森が灰川邸事件に関する著書で最後につづった「子どもを守れるのは親だけじゃない」という言葉も。

ラスト、無事に生きていた冴木は、蒼佑の墓前で花音と再会。「これまでのことも、これからのことも、話す時間ならいくらでもある。生きている限り」と歩き出した。歩みを進める中で、冴木がそっと花音の手を握った場面は暴力性に悩んだ過去を知るからこそ感動的でもあった。SNSにも「手繋ぎエンド好きでした」「二人が手を取り合って追われてよかったな」「望んでたラスト」「キュンとした」といった声が寄せられ、幕を閉じた。

◆文=ザテレビジョンドラマ部