<笑うマトリョーシカ・最終回>水川あさみ“道上”が追い続けたハヌッセン問題に決着 櫻井翔“清家”「あなたは僕を見誤った」

2024/09/09 20:38 配信

ドラマ レビュー

ジャーナリストかブレーンか。難しい選択をした道上(水川あさみ) (C)TBS

“ジャーナリスト”か“ブレーン”か、という難しい2択


ハヌッセンの正体を探るために清家のブレーンとなった道上だが、道上に提言したことが清家を通して発表され、改善されていくことに対してうれしさを感じているようにも見えた。

清家から「やっと信頼できる同士を見つけた気がします。道上さんがいればなれるかもしれません、この国のトップに。この国をより良い国にしていきましょう」という言葉をかけられた道上。この後、山中(丸山智己)に「このまま清家さんのブレーンでいたら、間違った方向に行くのを止められると思うんです」と話していたが、清家への見方が変わってきたように感じられた。

BG株事件の証拠となる録音テープの存在を記事にすれば、内閣総理大臣の羽生(大鷹明良)と外務大臣の諸橋(矢島健一)が失脚し、政権は転覆する。しかし、それをしてしまうと清家のブレーンでいることはできなくなる。

“ジャーナリスト”か“ブレーン”か。道上にとって難しい2択だと言えるだろう。

道上は“ジャーナリスト”としての道を選んだ


熟考した末に道上が出した答えは、ジャーナリストとして記事を出すということ。清家にそのことを伝え、ブレーンを降りることも伝えた。

清家は「あなたが必要です」と引き留めようとするが、「報道の力を信じたい。ブレーンとしてじゃなく、ジャーナリストとしてあなたと、この社会と向き合っていきたいと思います」という意思を伝え、清家の元を離れた。

BG株事件のことが記事になり、羽生、諸橋は失脚。そんな羽生に呼び出され、BG株に関する新たな事実を知ることとなった。

清家の実父・和田島(加藤雅也)もBG株事件に関わっていて、羽生らの関与をもみ消したのも和田島だった。そして、このことを清家も知っていたという。代議士になった直後から和田島の家に出入りしていて、清家は和田島の裏の部分も知っていた。

「笑うマトリョーシカ」最終回より (C)TBS


実父・和田島が清家を操るハヌッセンなのか


かつて和田島が「首相公選制」を唱えていたことを道上は知り、清家を操るハヌッセンは和田島ではないかと考え、清家に会いに行った。

「今日は生身の清家さんに会いにきました」と伝え、「全部ご存知だったんですね」と、疑問に思っていることを全て清家に話し、「ハヌッセンは和田島芳孝」とストレートにぶつけた。

それを聞いた清家は、和田島と交流があったことは認めたが「僕をコントロールしようとしなかったんです。父も僕と同じ特性を持った人間だから」と明かした。

和田島は清家に、これから様々な人間が操ろうと群がってくるがそれは利用して、“本当の自分”を見つけろとアドバイスを送った。和田島はハヌッセンではなく、むしろ逆で、清家の目を覚ました人間だった。

清家「僕は誰にも操られていません」


清家は「僕は誰にも操られていません」と道上に伝えた。つまり、“ハヌッセン”がいるという考え自体が間違っていたということになる。

道上を見込んで、本当の自分を見極めてくれると思い、近づき、「僕を見ていてくださいね」というメッセージも届け、ブレーンになってくれるようにお願いしたのだった。

清家を操ろうと思えば操れる立場、ブレーンにまでなった道上。しかし、ブレーンではなくジャーナリストとしての使命を果たそうとした。それに関して清家は道上を高く評価している。しかし、ハヌッセンにこだわりすぎたことに対し、「僕を見誤った」と険しい表情を見せた。

「ヒトラーがハヌッセンを切った時、何を思っていたか分かりますか?」と清家は道上に問いかけ、「“見くびるな”ですよ」と続けた。だから、自分を操ろうとしていた母・浩子(高岡早紀)、鈴木(玉山鉄二)、元恋人・美和子(田辺桃子)。自分を“見くびってきた”人たちを、最悪のタイミングで切り捨ててきた、と。

清家を操る“ハヌッセン”はいなかった。ただ、“明確な意思”を持たない清家は、指針を示してくれる誰かを利用して、今の地位まで上り詰めた。全てを明かした清家に、道上は「あなたを知ろうとすることは諦めません。それがあなたを救うことになると信じて」と伝えた。

いろいろな謎が明らかになったが、清家一郎という人物の実像はつかめないまま。逆に謎が深まっていったようにも感じられる。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

※兼高の高は正しくは「はしご高」