「新鮮さを失わないように」中谷美紀の作品への向き合い方

2017/10/11 10:00 配信

ドラマ

演技の楽しさを知った堤幸彦監督との出会い


【写真を見る】「ハルモニア―」では週刊ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演女優賞を受賞!©浅井佳代子


「ハルモニア―」と同時期に映画「リング」(1998年~)シリーズにも出演し、一気にトップスターの座へ。そして、1999年には西荻弓絵脚本、堤幸彦演出の「ケイゾク」(TBS系)で、東大法学部卒のキャリア刑事、天才的な頭脳を持つ柴田純を演じた。これがハマり役となり「犯人、分かっちゃったんですけど」という決めゼリフと共に新たな魅力を発揮した。

「柴田を演じている間は、女性らしさを意識せずに現場にいました。オールロケだったこともあり、廊下で寝たりしてましたね。役のためにも、あえてそうしていた記憶があります。『ケイゾク』は、とにかくセリフの量が多かったんです。でも、当時はまだ23歳で若かったので、そんなに練習もせず、憶えられたんですよね。今思えば、何で憶えられたんだろう(笑)。急にセリフが変わったり、台本がなかなか届かなかったりしたのに、セリフ憶えがそんなに大変とは思っていませんでした。怖いもの知らずだったのかもしれません」

柴田と先輩刑事・真山(渡部篤郎)の凸凹コンビ、パロディーや小ネタの連発とちりばめられた謎など、堤作品らしいスタイルが確立されたドラマでもあった。熱狂的なファンがついて、翌年には「ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer」(2000年)として映画化され、ヒットした。

「連続ドラマのとき視聴率が爆発的に良かったわけでもないのに、映画になって、たくさんの方にご覧いただけたのはありがたかったですね。当時はまだドラマから映画になるという作品が今ほど多くはありませんでした。堤監督とは『ハルモニア―』に続けてお仕事させていただいたのですが、映像に大変こだわりがある方で、カット割りもリハーサルから決まっていて、そのビジョンに近づくため、たくさんのショットを重ねていくという現場でした。時間はかかりますが、長回しなのでお芝居はしやすかったです。セリフはコミカルでしたし、アドリブもふんだんに入って、“演技って楽しいんだ”ということを教えていただいた作品です。それまで、お芝居するのは仕事!という感じで、“しっかりやらなければ”というプレッシャーの方が大きかったのですが、まだまだ演技の素人ながらも楽しみを覚えました」

主題歌「クロニック・ラヴ」もドラマと共に記憶されている曲。坂本龍一のプロデュースで歌手活動をしていた中谷が、坂本の名曲をカバーし、自ら歌詞を書いたものだ。

「私は本当に坂本龍一さんのいちファンなので、『バレエメカニック』を歌わせてくださいと、自分からお願いしました。ずっと歌ってみたかった曲なので、夢がかなったんです」

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