【試写室】「民衆の敵」篠原涼子の自然体なキャラは“民衆が味方”するはず

2017/10/23 04:55 配信

ドラマ コラム

篠原涼子がママさん議員を目指して奮闘!(C)フジテレビ

独断と偏見のレビュー


冒頭のフィクションとノンフィクションを織り交ぜた“現代”を表すVTRの数々に、いきなり引き込まれた。新ドラマの1話目だから、何よりこれから50分前後継続して見てもらうため分かりやすくインパクトがあった方がいいのは間違いない。

とはいえ、何事も“やり過ぎ”だと視聴者が置いていかれてしまうのは事実であり、インパクトを重視し過ぎて引かれたら元も子もない。その点、今作はちょうどいい。ちょうどいいって何で上から目線やねん、というのはひとまず置いといて、ほどほどにインパクトがあって、ほどほどにライトで。

予告編を作る人もそうだが、こういうふうに短くうまくまとめる人は尊敬に値する。いつも長々とまとまりのない文章を書く身としては…。って、おい!

そして主人公と家族のキャラも、おせっかいな説明ぜりふや事前情報が少なくともあっという間に分かる作りもお見事。これなら「民衆の敵」ならぬ、すぐに「民衆を味方」に付けられる。ものの15分ほどで応援したくなるというか。自転車の漕ぎっぷりも痛快! というか、共感! 

坂道で電動自転車に抜かれると無性に腹が立って、追い掛けたくなるもんなあ。ってそこじゃないか。かわいらしい夫と、天真らんまんでかわい過ぎる息子。これは応援しがいがある。特に息子の駿平くんがいい! 

うちの5歳の息子なんて、お菓子を買ってあげても「お菓子で釣られる年じゃねーし! A5ランクの肉食わせろ!」と生意気を言うんだが、駿平くんなんて、卵焼きをステーキだと思って食べるだと…!? エエ子や~! おいちゃんがホンマモンのステーキを食わせちゃる!と思わず画面にツッコんでいた。

それにこれまたうまいなと思ったのは、石田ゆり子お姉さまの隠しきれない美しさと高橋一生パイセンの色気というか大人の魅力の伝え方。筆者としてはフラットにドラマを見るために、誰かのファンになるということはあまりないのだが、2人にはあっという間に釣られてしまった。

その他、選挙ポスターもパッと見では見えないような細部までかなりこだわっているし、笹野高史の議員感、余貴美子の“デキる市長”っぽさ、古田新太のドンっぷり、斎藤さんこと斎藤司の素朴な議員っぽさ、前田敦子のアイドル感、某号泣議員のパロディーや、MEGUMIのどこかのバラエティーで見覚えのあるキャラ、子どもを溺愛する母を演じさせたら右に出る者はいない田島令子など、これでもか!と見どころがちりばめられている。

さらに、冒頭の話じゃないが、篠原演じる智子の等身大で飾らない演説はもちろんせりふだとは分かっていても、引き込まれてしまう。

それをあざとくなく演技で見せられるのが篠原涼子という女優のすごさであり、彼女が演じる智子という役を通して、政治に興味がない人や、立候補したくてもやり方が分からない、という人に対しても一石を投じる作品になっているのかもしれない。

って、そんな堅苦しく考えなくても、相変わらずこの方程式に狂いはないので、ご安心くださいな。「篠原涼子×フジドラマ=鉄板」。

これ、2学期の期末テストに出るんで、覚えといて。