「コウノドリ」松岡茉優「最終回までに四宮先生には“ふん”ではなく“ほぉ”を言わせたい」

2017/11/18 09:00 配信

ドラマ

ヒューマン医療ドラマ「コウノドリ」(TBS系)に異変アリ。ペルソナ総合医療センターで産婦人科医として経験を積んでいた下屋加江が、11月17日 放送の第6話で救命科へ移ることに。11月24日(金)放送の第7話では、転科した下屋のゼロからのスタートが描かれる。下屋役の松岡茉優が、この注目の展開について、さらに最終回に向かっていく今後についてたっぷりと語った。

撮影●川野結李歌


下屋が産科を出ていくとき、原作どおり髪を短くしたかった


―第6話は、下屋が産科を出て救命科に異動するという衝撃の急展開でした。この変化をどのように演じようと思いましたか?

撮影が始まる前、プロデューサーさんたちから「このシーズン2では下屋の転科を描きたい」というお話を聞いたのですが、私も原作コミックでそのとき下屋が髪を切る場面が潔くて好きでしたし、ドラマでもやりましょうという話になりました。そして、ばっさりと短くしてみたのですが、いかがでしょうか? ちなみにその場面を撮影したとき、白川役の坂口健太郎さんには完全スルーされまして、「髪、切ったんだけど」と言ったら、「モニターで見てたよ」とあっさり。もっと何か一言ちょうだいよ!と思いました(笑)。

―自分が診ていた妊婦が亡くなったことは、下屋にとって人生を変えるほど大きなことだったんですね。

妊婦さんは甲状腺に異常があったことから、容態が悪化してしまいました。稀なケースではあるのですが、喉のところにある甲状腺を触診していれば分かったかもしれないのにと考えると、「やっぱり私のせいじゃないかな」と思ってしまいますよね。下屋はそんなふうに後悔したままの自分でいたくないから、救急医療を学ぼうと決意したのだと思います。2年前の研修医時代からずっと一緒にやっている周産期医療センターのみんなと離れるのは本当にさびしいんですけど…。

撮影●川野結李歌


救命科に行くことで、リアルな医師像を伝えたい


―下屋をかわいがっていたサクラ(綾野剛)に「救命科に行きたい」と告げる場面は、どんな気持ちでしたか?

その場面では、サクラ先生と四宮先生(星野源)が一緒でした。下屋が全幅の信頼を置いているサクラ先生と、ちょっと苦手だけど心から尊敬している四宮先生。この2人から離れるのは、下屋にとっては自分に怒りすら覚えるぐらい悲しいこと。でも、この人たちに追いつくためにはそうしなければならない。救命科に行くことは下屋なりに成長のステップとして選んだんだろうなと思います。この展開を原作で読んだとき、お医者さんがいったん専門を決めた後に異動することがあるんだとびっくりしました。産婦人科医が救命科に行くというのは、原作では「楽器で言うならプロのピアニストがプロのドラマーを目指すみたいなものだから」と例えられていますが、逆に、それぐらい自由度があるということに驚きました。下屋のモデルになった女性医師の方も救命に行って向上心たっぷりに勉強されているそうで、私たち患者側から見ると、お医者さんって完璧なスーパーマンのようだけれど、実際は私たちに近い感覚で悩み葛藤している。いろんな選択肢がある中で生きていることを伝えられたらと思います。

撮影●川野結李歌


下屋と白川の“ラブ線”が出てくる可能性も!?


―下屋と同期の白川はシーズン2になって関係が変わりましたか?

下屋と白川は、お互い新人の研修医じゃなくなり、専門医のプライドとかエゴも出てくる段階。成長して診療ができるようになったところで、自分が成長したと思うおごりがあるかもしれませんね。シーズン1では走り回って頷くことしかできなかった私たちが、大人になったんだなというシーンもたくさんあったけれど、第6話からは自分が未熟だということを抱え直して自分の道に進んでいくので、そこを見守っていただきたいと思います。白川役の坂口さんは、監督から求められたことも柔軟に対応していくし、私よりちょっと年上ですけれど、このチームの中では同じ20代として頼りにしています。

―シーズン2開始当初は、松岡さんも坂口さんも、「下屋と白川の間にラブ線はない」と言っていましたが、やはり最終回まで進展はなさそうですか?

そう思っていたんですけれど、綾野さんに「私たち、何もないですよね?」って聞いたら、何かニヤニヤしながら「いや、分かんないよ」って言われたんですよ! 「およよ?」って驚いて、2%ぐらいはラブになる可能性があるのかも? でも、なくていいんですけどね、この2人はあくまで同期ということで。ただ、撮影した映像を見ていると、これが実写化の効果かぁと思うんですが、原作コミックでは何の気なしに下屋と白川が近くにいるシーンも、俳優が肉体をもって演じるとリアルで、2人の間に親密さを感じるんですよね。

―松岡さん自身から見て、白川のような男性はどうですか?

え? 白川? 坂口さん? どちらですか?(笑)坂口さんと違って、白川はちょっと傲慢なところがあるじゃないですか。演じているときは下屋とリンクしているからか、得意ではないですね。「白川って、すごいプライド高いんだな」とかちょっと反発を覚えます。でも、第5話から6話にかけて下屋が追い込まれたとき、その中で寄り添ってくれたのは白川でしたね。なぜかあっちから来てくれて一生懸命「元気出せよ」とか言ってくれて…。もしかして、下屋を好きなのか?とも思いました。傍から見ていると本当に良い関係性だなと思うし、自分にもそんな同期がいたら心強いと思います。

撮影●川野結李歌


最終回までに成長してサクラ先生を助けられるようになりたい


―11/24(金)放送の第7話から、下屋の救命科での奮闘が描かれますね。そのシーンを演じたばかりということですが、どうでしたか?

救命室は産科とセットも違いますし、衣装や医療用サンダルも違う色になります。小松さん(吉田羊)と話すのも産科の控室ではなく屋上になっちゃうし、産科の赤ちゃんたちとも会えなくなりますね…。そう考えると、かなり寂しい。しかも、救命ではこれまで身につけてきた演技の所作もまったく通用しないんです。「心臓マッサージはできるだろう」と思っていたけれど、実際に演じてみると、全然“押している感”が出なくて、想像と全く違いました。今、私と下屋と二人三脚という感じですね。きつい状況ですが、下屋が決意したことを演じきりたいなと思いますし、最終話までにサクラ先生が困っていることがあったら助けられるようになりたいですね。今までは教えてもらってばかりだったから、一つ成長して先生を助けたい。そして、四宮先生には「ふん」ではなく「ほぉ」と言わせたい。認められた証として、ジャムパンをもらいたい。それが最終回までの目標です(笑)。

取材・文=小田慶子