そして、こちらは一転してオトナな雰囲気。座組からして、さまざまなジャンルの日本を代表するクリエーターばかりで、名前を見ただけでご飯は3杯いけるくらいそそられるメンツ。
彼らのモノ創り談義で特に気になったのは、殺人犯を演じるときの心理。この場にいた演技経験者のほとんどが殺人犯を演じたことがあったようだが、それぞれ捉え方はさまざまなで、実に面白い。
それから秋元康の「叱られたい願望」。これは、知り合いの某ベテランライターも「女性に叱られたい!」のようなことを言っていたが(それは違うか)、やはり年齢・キャリアが上がるにつれて、周りからは「いいね!」しかないから、張り合いがないし、何を言っても「イエス!」ってこられてしまって、それでいいのか?って思うのかも。
年末の紅白で大反響があった、秋元が作詞した「不協和音」(欅坂46)の歌詞にもそういった感情があふれているような…。意味としては違うのかもしれないけど。
それから浦沢直樹の「絵は毎日描けばうまくなる」というのは、希望が湧いた。卑下でも謙遜なんでもなく、ネガティブな意味で「画伯」級の画力を誇る(誇ってはいないが)身としては、これから毎日やってみようかなと。そうすれば、来年の今頃には漫画家にでもなって、「21世紀中年」を書いているかも。
そしてラストの作曲へとつながっていく流れも、ぜいたくだ。ジャンルが違う一流のモノ作りのプロたちが、一緒になって1つのものを作る。これはワクワクしかない。かなり福山はプレッシャーをかけられていたけど、それをも乗り越えられると知ってのことだろう。
この番組を見て、本当に「クリエーターの頭の中には常に迷路が広がっている」のだなって、誰も言ってないが勝手にそんな気がした。他の人がのぞこうと思っても、迷子になってしまって核心にたどり着くことはできない。
私がコンテンポラリーエディターを名乗って記事を執筆したり、編集したり、何ならカメラマンにもなり、デザイナーにもなれているのは、別に才能がすごくあるからではなく、ゴールの形が見えているからであり、やったことがないことに関しては赤子と大差ない。
それと同様に、各分野に特化していて優れたクリエーターは、万能ではないのかもしれないけど、そのゴールを見つけるのが誰よりも早い人なのだと思う。だからこそ、作詞もできれば作曲もできる。演出もできれば出演もする。音楽プロデュースもすれば、映画もプロデュースをできちゃうのだろう。
何が言いたいかというと、諦めたらそこで試合終了ですよって話。
べ、別に秋元先生を安西先生と見間違えたわけじゃないんだからね! …各方面、いろいろとすみません。
とにかく、クリエーターを目指している人や、漠然と夢を追いかけている若者にはぜひ見ていただきたいなと、自称クリエーターの意見を書いておこう。
そんなたいそうなことではないけど、ここまでぜいたくなメンバーが一緒になって作曲していくというのを見られるのは、何ものにも代え難い、この番組の魅力なんだろうな。
でも、もし僕がこの番組での福山のように、大先輩にむちゃぶりをガンガン言われる立場に立たされてしまったとしたら、こう言っちゃうでしょうね。
「僕は嫌だ!」
文=人見知りシャイボーイ
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