広瀬すず主演ドラマ「anone」とは、一体何だったのか?

2018/03/21 14:00 配信

ドラマ

3月21日(水)放送の「anone」のワンシーン。広瀬すずが演じるハリカの姿も見納めに(C)NTV

Pに「どう書いていいのか分からない!」と泣き付いてみた


そんなことにも気付かず、ある日、私はしびれを切らして次屋Pに「どこを視聴者にアピールしたらいいのか?」と泣き付いてみた。

記者としては情けない話だが、読者や視聴者に作品を見てもらうために背に腹は代えられないと思ったのだ。

恥ずかしながら「坂元さんの脚本、水田監督の演出は何重にも練られていて、いくら読んでも全てを読み切れないんです。記事を書くのが難しいです」と思い切って“降伏宣言”をすると、「それなら、そうと記事に書いてください」と笑顔で返されてしまった。

なかなかこちらとしても意地があり(ちっぽけだが)、「いくら読んでも読み切れません」と記事にすることはできなかったが、最終回を前に、今ここで胸を張って白旗を上げたい。

坂元裕二の魅力は“優れたストーリーテラーであること”


なぜなら、以前、次屋Pは週刊ザテレビジョンの取材に以下のように語っている。

「僕は坂元さんの一番の魅力を『優れたストーリーテラーであること』だと思っています。ドラマって放送から10年、20年後に振り返ったとき、タイトルや主演キャストのことしか覚えていないということになりがちですよね。

でも、坂元さんのドラマは、例えば“『Mother』は虐待された少女を小学校の先生が誘拐してしまう話”というように、『こういう物語だった』ということが残る。そういう意味で“残っていく”物語が紡げる人だと思います」

見た人の心に“残っていく”ため、徹底的に練られた物語。もちろん、次屋Pに言われたわけではないが、私の質問に対する答えは「せいぜい4カ月程度しか関わっていない記者に簡単に全てを読ませてたまるか」という誇りに基づくのでは、と思うのだ。

俳優陣が全身全霊を懸けて演じ、制作陣が練りに練った物語の結末は、そんな記者のオススメ記事なんかに左右されずに、視聴者一人一人が見て感じ取ってほしい。

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