又吉直樹が、鈴木亮平主演の大河ドラマ「西郷どん」(毎週日曜夜8:00‐8:45ほか、NHK総合ほか)に出演し、江戸幕府13代将軍・徳川家定を好演している。
家定は、篤姫(北川景子)の夫となる人物だが、「ぼけた発言や奇行がある“愚鈍”な殿で、子宝も望めない」とうわさされ、周囲からの評価は高くなかった。そんな、家定を演じてみて、どういった印象を抱いたのかなどを聞いてみた。
――初めての大河出演で驚いたことなどがありましたら教えてください。
そうそうたるメンバーと本読みをして、そこから稽古に移るんですけれど、初めてリハーサルに行った時、僕以外が全員和服で来ていて…。それは、本番の歩き方とか作法ができるように着てきているらしく、僕だけすごいラフな格好で行ってしまったので、むちゃくちゃ失礼なやつが来たみたいに思われていないか心配になりました(笑)。
そういった決まりはないらしいんですけど、誰からも何も聞いていなかったので、びっくりしましたね。
――大河ドラマの撮影現場で感じたことなどありますか?
大河ドラマにかぎらず、ドラマの現場って役名で呼ばれるんですね。普段、「又吉」とか「又吉さん」と呼ばれるところ、みんな「家定さん」と呼んでくるんです。一度スタッフさんから「お殿様!」と呼ばれたんですけれど、何かすごく変な感じがしましたね(笑)。
――家定という人物の印象をどのように捉えていますか?
病弱でちょっと変わっていて、不思議な行動をとる奇人というふうに描かれることが多いので、そういったイメージでした。今回、中園ミホさんの脚本では、奇人な部分はあるけれど、根柢の部分に優しさみたいなものが描かれていて、そういった一面もあったのかなと感じることができました。
そして、その優しさが家定を動かしている力となっていたんだろうなと思います。
――家定という人物の魅力を教えてください。
僕はお芝居の経験がほとんどないので、緊張感をもって演じてはいるんですが、家定がかわいくて、笑ってしまうことがあるんですよ。いいやつすぎるんです。お殿様のことをそんなふうに言ったら駄目なんでしょうけど、そういうところが魅力的な部分ですね。
――家定の心理状態をどのように感じとっていますか?
家定は若い時に大事な人を次々と亡くしていて、何かが死ぬということを強く恐れているんですね。身近な人が亡くなった時の悲しみだけでなく、世界中のどんな生物の死も等しく悲しく、家定の心に入ってきてしまう。しんどかったでしょうね。
――台本には家定のせりふに「アウ…アウ…アウ」というものがありますが、どのような感情で表現なさったのですか?
僕の中では、緊張状態とか自分の置かれている状況で何か言葉を言わなければいけない、あるいは、心の中には言葉に置き換えられる感情はあるけれども、それを言語化できないという状態と解釈して表現しています。
――篤姫を演じている北川景子さんの印象を教えてください。
篤姫は熱い人間で、パワーがある人物だったと思うんですけれど、北川さんご自身もかなり力強いというか、篤姫に似た気迫を持っていると感じますね。
家定は、お殿様なんですけれど、篤姫のことが好きでたじろいでもいる。だいぶ近い距離で目を合わせるシーンがあるんですけれど、その場面は台本上、僕が戸惑うとなっているんですが、台本を意識しなくても戸惑えましたね(笑)。
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