第6週を放送中の連続テレビ小説「半分、青い。」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか)。5月10日(木)にオンエアされた第34回では、岐阜から上京したヒロイン・鈴愛(永野芽郁)が、バブル期の東京と秋風(豊川悦司)の創作現場、そしてオフィスの豪華さに圧倒される展開が描かれた。
鈴愛の師匠にあたる秋風羽織は、カリスマ少女漫画家。12億円のオフィスを構えるほどの売れっ子だ。
そんな秋風が、アシスタントたちに新作のイメージを伝えるシーン。ギターでコードを鳴らしながら、「今回の『チープスリル』は、Cmaj7(シー・メジャーセブンス)で。Cmaj7の世界です」と告げる。
秋風のアーティスティックさや気難しさが表れたシーンだが、このコードを「Cmaj7」にしているところにまた、脚本家・北川悦吏子のセンスが光る。
「maj7」とは、3音で構成されるメジャーコードに、そのコードの下から7音階目の音を加えたコードのこと。どこか都会的でありながら、哀愁感ただよう響きも併せ持つ。山下達郎や松任谷由実が多用したことで、1970〜80年代の歌謡曲を象徴するコード、という印象が強い。
そして「Cmaj7」というと、「C」である「ド」から3音で構成される「ドミソ」に、「ド」から7音階目の音「シ」を加えた「ドミソシ」を示す。
たとえば、秦基博は「亀田音楽専門学校」(NHK Eテレ)に出演した際、「Cmaj7」を「切ないんだけど澄んでいる、透明感のある印象」と語っている。
また、「ザ・カセットテープ・ミュージック」(毎週金曜深夜2:00-2:30、BS12 トゥエルビ)では、マキタスポーツとスージー鈴木が、松任谷由実の「卒業写真」(1975年)に使われている「Cmaj7」に大興奮。
2人は「サザンオールスターズ特集」回でも1984年の「海」などを取り上げ、「maj7の魔法がかかっている」「オトナの段階にステップアップしたような気分になった」と熱く語っているほど、「maj7」の世界に魅せられている。
そんな「おしゃれ」で「オトナ」な空気を、「半分、青い。」の秋風は求めていたのだ。
本作には、時代を象徴する歌謡曲やアイテムが随所にちりばめられている。今回の「Cmaj7」登場シーンも、話題になった柏原芳恵の「春なのに」(1983年)やプリンセス プリンセス「世界でいちばん熱い夏」(1987年)の歌唱シーンと同様に“時代の空気”を演出しながら、さらに鈴愛が人生で初めて触れる「都会」をさりげなく見せているのだろうか。
5月11日(金)放送の第35回では、いよいよ鈴愛の東京生活がスタート。カルチャーショックを受ける日々が描かれている。
また、マキタスポーツとスージー鈴木による「ザ・カセットテープ・ミュージック」は、5月11日(金)深夜に「ユニコーン特集」回を放送。「Cmaj7」の魅力を解説している「松任谷由実特集」回は、5月18日(金)に再放送される。
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